百物語の会に、最後の一本の灯芯が、まだ灯ったまま残っている。誰も、それを語り終えて消そうとはしない。九十九話まで語られた座敷には、もう新しい客が来ることは少なくなったが、灯芯だけは、律儀に、毎晩灯され続けている。
ある夜、一人の若者が、この座敷を偶然訪れた。若者は、灯芯の由来を聞いて、少し考えた後、こう言った。「では、私は、百話目を語らずに、ただ、この灯を見守る役目を、継がせてもらえますか」
座敷の主は、それを許した。
若者は、それから毎晩、この座敷に座り、灯芯を見守り続けている。
灯芯は、今日も、静かに灯っている。