OCCUPATION

妖怪と職業

この切り口について

妖怪は誰にでも平等に出るわけではないと思う。海の上で暮らす人、山で働く人、鉄を打つ人、それぞれの持ち場に、それぞれの妖怪がいる。ここでは、特定の仕事と結びついた妖怪・禁忌・作法を集めてみた。

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猟師・マタギ鍛冶屋漁師・船乗り木地屋・杣人寺院・陰陽師
猟師・きこり・マタギ

史実:山言葉やまことば・忌み言葉いみことば、山の神やまのかみへの祈り、獲物を得た後の感謝の作法など。詳しくは山と妖怪にまとめてある。

鍛冶屋・鋳物師いもじ

史実:一目連(三重県)のような一つ目の神・妖怪は、柳田國男やなぎたくにおの一目小僧論では、製鉄の炉の火を長時間見続けたことによる職業病(火に当てられて視力を失う、あるいは片目を痛める)の記憶が神格化されたものという説で説明されている。鍛冶や鋳物といった、火と金属を扱う職能集団に特有の身体的リスクが、妖怪の姿として記憶されているという見方。

私の見方:一つ目という異形が、単なる恐怖の記号ではなく、特定の職業に伴う具体的な労働災害の記憶だったとすると、妖怪の姿の中には、思っている以上に「働く人の記録」が紛れ込んでいるのかもしれない。

漁師・船乗り

史実:海坊主・船幽霊など、海の妖怪の多くは漁師や船乗りの間で語られてきた。山言葉やまことばに対応する「沖言葉」という、海上でだけ使う忌み言葉いみことばの体系も存在する(例:猿を「エテ」と呼ぶなど、動物名を言い換える慣習は山と共通している)。海難事故という具体的な危険が、海の妖怪の出現条件と重なっていることが多い。

木地屋きじや・杣人(そまびと)

史実:ろくろを使って椀や盆を作る木地屋きじや、木材を伐り出す杣人(きこりの古い呼び方)も、山中で独自の技術・信仰を持つ職能集団だった。古杣(高知県などに伝わる妖怪)のような、山仕事にまつわる妖怪の背景には、こうした専門職の存在がある。

寺院・陰陽師おんみょうじ

史実:見えない力を専門的に扱う職業として、僧侶・陰陽師おんみょうじも欠かせない。詳しくは妖怪と宗教にまとめてある。