女性の姿をした妖怪には、いくつかの共通した型があると思う。これは学術的にも指摘されている観点だけれど、「女性はこう見られてきた」という一方的な結論を出すためのものではない。伝承がどう語られてきたか、という事実の整理として書く。個人の断定的な評価は書かない。
史実:濡れ女・磯女・川姫のように、水辺に現れる女性の姿をした妖怪は非常に多い。これらの多くは、水難事故(特に女性や子どもの水死)を説明する怪異譚という解釈が、この台帳の各記事でも紹介した通り、一般的になされている。
史実:山姥・黒塚(鬼婆)のように、年老いた女性が鬼や妖怪になるという話型も広く見られる。一方で山姥は、能の演目では山を巡る達観した存在として描かれ、金太郎を育てた母としても語られるなど、恐怖と豊穣という両面を持つ、複雑な位置づけの存在でもある。
史実:砂かけ婆・小豆婆のように、老女の姿をした妖怪が家や道の近くにいる、という話型も多い。これらは概して実害の少ない、いたずら程度の妖怪として語られることが多い。
女性型の妖怪に共通する型があること自体は、この台帳のいくつもの記事から確認できる事実だと思う。ただ、それが何を意味するかについては、小松和彦のような研究者による議論はあるものの、この台帳が独自の結論を出すべき話題ではないと考えている。ここでは、型がある、という事実の整理だけを行い、その解釈は今後の課題として残しておく。