宮崎直哉(みやざきなおや)は、編集する人である。音楽、妖怪、鎌倉、サウナ、地域文化。気になったものを自分なりに調べ、記録し、編んでいる。領域ごとに名義を分けていて、妖怪を扱うこの台帳では「一見坊」を使っている。
本業は、ブランドの上流にあたるマーケティングとブランディング。主にウェルネスやヘルスケア領域のブランドに関わっている。岩手県紫波町では、あづまねエリアのブランディングプロデューサーを務めている(2024年〜)。地方活性化のプロジェクトには、複数の自治体を横断して関わっている。
気になったものを、とことん調べて、編集して、他人が楽しめる形にする。ここに並べたものは、どれも同じやり方で掘っている。
事実と解釈は、できるだけ分ける。わからないものは、わからないまま残す。
この台帳で信頼度を6段階で示しているのも、同じ考えからきている。確認できたことと、確認できていないことを混ぜない。それだけのことだが、調べものを続けるうえで、これが一番大事だと思っている。
アパレル、エンターテインメント、EC、飲料など、幅広い業種のブランドに関わってきた。
東京工科大学、関東学院大学、神奈川大学、和光大学、専修大学、紫波町、五島市、砥部市、他。
DJ名義はdjnaoyaman。DJ歴は32年になる。かつてはプロダクションに所属し、日本中の媒体に音楽評を書いていた時期もあったが、今もターンテーブルの前に立ち続けている。
note.comで執筆中。DJとしては、「Artists inside the DJ bag」というマガジンで、DJ Shadow・DJ Kentaro・J Dilla・RADIOHEADなど、一人のアーティストを前編・中編・後編や第一話からの連話形式で深く掘っていくシリーズを続けている。
サウナイキタイで記録中(湯気文吾名義)。
もともとは登山を通じて、自然を人間とは切り離されたものではなく、文化や暮らしの一部として捉えることに関心を持っていた。自身が不思議な体験をしたこともあり、そこから妖怪や民間伝承への興味が深まっていった。
『ユリイカ』の特集をきっかけに縄文時代への関心が生まれ、そこからホモ・サピエンスの歴史、古代日本、邪馬台国の所在、アニミズム、民間伝承へと興味は広がっていった。小松和彦氏の妖怪研究に触れたことや、岩手での地域プロジェクトを通じて柳田國男の思想と出会ったことも、その関心を大きく深めるきっかけになった。
要するに、知識を食べるのが好きなのである。ひとつ調べると、その先にまた別の疑問が出てくる。妖怪を調べているつもりが、いつの間にか歴史や民俗学、人類学の話になっている。そんな寄り道を繰り返している。
この妖怪戸籍簿は、その延長にある個人的な調べものだ。47都道府県に伝わる妖怪をひとつずつ台帳に起こし、文献や資料などから確認できたものを、順次記事にしている。
ここで大切にしているのは、「確認できる事実」と「自分の解釈や感想」をできるだけ分けること。これは、普段の文章を書くときと同じ姿勢である。
伝承は、語り継がれるほど姿を変えていく。それ自体は、とても面白い。しかし、出典のない情報や後世の創作が、いつの間にか「昔から伝わる事実」として定着してしまうこともある。書き手として、それだけはできるだけ避けたい。
だからこの戸籍簿では、妖怪を面白く紹介することだけではなく、何が確認できて、何が分からないのかを残すことを大切にしている。妖怪を消費するのではなく、そこに残された土地の記憶を、できるだけ正確に次へ渡していく。それが、この妖怪戸籍簿の目指しているところである。
この調べものを始めたのは、2008年。もう18年近く、途切れながらも続けている。妖怪の研究、ライティング、このサイトの更新は、雨の日と決めている。晴れた日は外の仕事があるし、雨の日は元々、家の中で調べ物をするのに向いている気がする。
妖怪を知ることは、結局のところ、人々が日々の暮らしの中で、どんな現象に目を留めてきたかを知ることだと思う。何を恐れ、何を面白がり、何にわざわざ名前をつけたのか。それを一つずつ拾っていく作業は、マーケティングの仕事で、人の心の動きを捉えようとしてきたことと、根っこの部分でよく似ている気がする。市場調査も、妖怪の伝承採集も、結局は同じことをしているのかもしれない。人々が、何にどう反応してきたかを、丁寧に読み取ろうとする、一種の社会学的な実践。妖怪研究は、自分の中にある職業病のようなものが、たまたま別の対象に向いた結果なのだと思う。
小さな娘の好奇心に付き合っているうち、その延長でこちらの興味も広がっていったところがある。娘が雷や虫や影を怖がったり面白がったりする様子を見ていると、自然現象と妖怪、心の動きと妖怪という、この台帳でも繰り返し書いている二つの軸を、日々あらためて考えさせられる。子供の反応の方が、たいていの学術書より正確なことがある。妖怪について調べ続けているのは、仕事というより、ライフワークの一つになっている。