拾得物、一。麻布、白。縁の始末、共通。用途、経帷子と思われる。
浅草の外れに、崩れた石垣だけが残る場所があった。土地の者は「古門跡」と呼び、日暮れ以降は近づかないようにしていた。ある食い詰めた男、権六が、雨をしのぐために、その石垣の陰に潜り込んだ。権六は、火事で店を失い、今はもう、何もかもが底をついていた。
拾得物、二から七。
同種。老婆、選びながら集める。
先に一人の老婆が、何かを引き剥がすように、石垣の隙間から古い布を集めていた。老婆は、「これを売って、飯を食う」と言った。権六は、老婆が集めている布を、よく見てみた。どれも似たような、質素な白の麻布で、縁の始末の仕方が、すべて同じだった。この土地に埋められた者たちの経帷子だけを、選んで集めていたのだった。
拾得物、記録者への引き渡しなし。
権六はその言葉に、何も言い返せなかった。老婆にとって、それは、亡くなった者たちを、もう一度、誰かの役に立つものに変えてやる、供養の一つの形だったのかもしれない。夜が明け、権六は老婆の姿がどこにもないことに気づいた。ただ、自分の手には、いつのまにか、老婆が集めていたはずの経帷子の布が、握られていた。
権六はそれを、古着として売ることはできなかった。