京都府の台帳、詳細記事(妖怪図鑑掲載分)があるのは「酒呑童子」「羅城門の鬼」「鵺」「橋姫」「目目連」「陰摩羅鬼」「輪入道」「毛羽毛現」「以津真天」「狂骨」「邪魅」「うわん」「釣瓶落とし」「竹伐狸」。
日本の鬼の代表格、というポジションは伊達じゃない。
門の上に鬼がいる。渡辺綱が腕を斬り落とし、その腕は後に取り返された。
正体不明、という設定が一番怖いというのはこの妖怪で証明されている。
同じ名前の中に、待つ女と、鬼になった女が、両方いる。
水木しげる本人の娘が、実際に「見た」と言っている数少ない妖怪。
供養が足りない、というだけで生まれてしまう妖怪。
見ただけで魂を抜かれるのに、対処法だけは意外と親切に伝わっている。
「稀にしか見られない」という意味の名前を持つ、という時点で既に一芸。
鳴き声がそのまま名前になった、という珍しい成立過程を持つ。
「井中の白骨なり」という一言だけで、なぜか十分に怖い。
固有の物語がないまま、ただ「悪い気」として描かれている。
「うわん」という声しか、何も伝わっていない。
木の上から急に落ちてくる、というだけで十分に怖い設定だと思う。
竹を伐る音だけが、夜通し聞こえる。朝行くと、竹は一本も倒れていない。
このほか台帳に登録されているのは油坊、姥が火、朧車、火前坊、帷子辻、片輪車ほか12体。名前は確認できているけれど、伝承の中身はまだ調べきれていない。捏造するくらいなら空欄のままにしておく、というのがこの台帳のルール。
また、手の目は、この県だけの妖怪ではなく複数の県にまたがって伝わっているため、妖怪図鑑の横断記事にまとめてある。