邪魅(じゃみ)は、鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(1779年)の「雨」の部に収められた妖怪。石燕の注記は「邪魅は魑魅(ちみ)の類なり、妖邪(ようじゃ)の悪気なるべし」と簡潔に記すのみで、固有の物語や来歴を持つ怪というより、山林に満ちる邪悪の気、人に害をなす魔的な精の総称として観念的に示されている。石燕の絵では、痩せ衰えた異形の鬼が身をかがめる姿で描かれ、個体としての性格づけは薄く、瘴気・祟り・病といった目に見えない災厄の擬人化に近い。語の出自は日本固有の伝承ではなく、中国の古典『春秋左氏伝』以来説かれる「魑魅魍魎」——山や沢、木や石の精気から生じ人に禍をなすとされる精怪の総称——のうち「魅」の一字を取り、石燕が一個の図像として再構成したものと解される。