猫又は、年を経た猫が変化したとされる妖怪。尾が二股に裂けるのが特徴とされる。記録は古く、藤原定家の日記『明月記』の天福元年(1233年)の条に、南部で猫又という獣が一夜に七、八人を食い殺したという記述がある。鎌倉時代成立の『徒然草』『古今著聞集』にも登場し、山に棲む猫又と、飼い猫が年を経て化けたものの二系統が語られている。江戸時代に入ると、人家で飼われた老猫が猫又になるという考え方が一般化した。そのため、猫を長く飼うものではない、という俗信が各地に生まれ、地方によっては化けるのを防ぐために子猫の尾を切る風習もあった。尾曲がり猫の起源のひとつとされる。姿を決定づけたのは鳥山石燕の『画図百鬼夜行』(1776年)で、障子の前で二本足で立ち、手拭いを被って踊る二尾の猫として描かれている。現代の猫又のイメージは、ほぼこの絵に由来する。