神奈川県 / 関東地方 / 動物の変化 / 分類:動物変化

建長寺の狸和尚

けんちょうじのたぬきおしょう
単一資料
鎌倉の大寺の名を借りて、旅の僧が全国を歩いた。その正体は狸だった。

鎌倉五山第一位・建長寺の僧に扮した狸が、諸国を旅して人を化かすという民話。建長寺という権威ある寺の名を出せば、どこの村でも僧として遇される。その仕組みを利用したという筋立てで、狸の知恵が寺の格の高さを逆手に取っている点が面白い。この話型は鎌倉だけにとどまらず、静岡県川根本町や山梨県身延町など、各地に「たぬき和尚」の民話として伝わっている。建長寺そのものは、けんちん汁(建長汁)の発祥としても知られる。精進料理を作る寺と、そこに化けて入り込む狸という取り合わせには、寺の台所という日常的な場所への想像力が働いているようにも見える。

おまけ(台帳データ)
伝承地
神奈川県鎌倉市山ノ内・建長寺。同じ話型が静岡県・山梨県などにも伝播
別名・異名
たぬき和尚
時代
採録は昭和期。話の成立時期は不明
動物との関係
狸。僧に化けるという話型は全国に分布し、狐が僧に化ける白蔵主とも対をなす
類似・関連妖怪
茂林寺もりんじ釜(分福茶釜)(群馬県・寺に住み着いた狸)、白蔵主(大阪府・僧に化けた狐)、竹伐狸(京都府・音だけで人を化かす狸)
学術的解釈
寺と狸の結びつきは各地に見られる型。建長寺という具体的な大寺の名が使われることで、話に実在感が付与されている
柳田國男やなぎたくにおの見解
この妖怪について具体的に言及した記述は確認できていない
小松和彦こまつかずひこの見解
この妖怪について具体的に言及した記述は確認できていない
現代文化
各地の民話集に採録され、児童向けの昔話としても再話されている
伝承の現況
建長寺は現在も鎌倉五山第一位の禅寺として参拝できる