京都府 / 近畿地方 / 動物の変化 / 分類:動物変化

竹伐狸

たけきりだぬき
複数確認
竹を伐る音だけが、夜通し聞こえる。朝行くと、竹は一本も倒れていない。

竹伐狸は、京都府南桑田郡保津村大年(現・亀岡市)の竹藪に棲んでいたという古狸。夜になると竹藪から音がする。まず「チョン、チョン」と小枝を払う音。次に「キィキィ」と根元を挽く音。最後に「ザザッ」と竹が倒れる音。ひと通りの伐採作業が、音だけで順序よく再現される。だが夜が明けてから見に行くと、竹が伐られた痕跡はどこにもない。京都のほか、兵庫県の山奥、鳥取県でも同様の怪異が伝わる。静岡県の旧阿多古村では、夜の山奥から笛や太鼓の音が聞こえる怪異を山囃子はやしと呼んでおり、音だけが残るという型は各地にある。姿を見せず、音の段取りだけで人を化かすというのが、この狸のやり方である。

おまけ(台帳データ)
伝承地
京都府亀岡市(旧・南桑田郡保津村大年)。ほか兵庫県の山奥、鳥取県にも同様の伝承
別名・異名
竹切狸とも書く
時代
昭和初期の採録。昭和末期・平成にも同種の話が語られている
動物との関係
狸。姿は見せず、音だけで人を化かす古狸とされる
類似・関連妖怪
山囃子はやし(静岡県)、天狗倒してんぐだおし(各地の、木を伐る音だけがする怪異)
学術的解釈
音の怪異という型に属する。実際の音源は風や動物の可能性が指摘されるが、伐採の手順を音だけで再現するという構成が特徴的である
柳田國男やなぎたくにおの見解
この妖怪について具体的に言及した記述は確認できていない
小松和彦こまつかずひこの見解
この妖怪について具体的に言及した記述は確認できていない
現代文化
鳥取県境港市・水木しげるロードにブロンズ像がある。映画『学校の怪談』に寄せられた噂話としても紹介された
伝承の現況
亀岡市に解説板が設置されている。平成期にも大阪府で同種の目撃談が語られた