紫波郡(現・紫波町を含む地域)に伝わるカカベは、死者の霊魂が蝶や蛾の姿を借りて現れたものとされる。座敷童子や河童のように広く知られた妖怪ではなく、地域資料の中で名前だけが伝わっている性格が強い。姿を変えて「戻ってくる」という発想そのものは、東北各地の霊魂観・オシラサマ信仰とも通じるところがあると思う。佐々木喜善が『紫波郡昔話』をはじめ、紫波・和賀・岩手・胆沢郡の昔話を採録しているが、カカベ個別の詳しい状況(いつ、どのように現れるとされたか等)まではまだ十分に追い切れていない。