羅城門の鬼は、平安京の南端にあった羅城門に棲むとされた鬼。源頼光の四天王のひとり、渡辺綱との対決で知られる。
『平家物語』の剣巻や、能『羅生門』に語られる筋はこうである。頼光の郎党たちが宴席で、羅城門に鬼が出るという噂を話題にした。綱がそれを確かめに行くと、背後から兜をつかまれる。振り向きざまに斬りつけると、鬼の腕が斬り落とされた。綱はその腕を持ち帰り、厳重に封をして保管する。
数日後、綱の伯母と名乗る老女が訪ねてくる。腕を見せてほしいと請われ、綱が箱を開けて見せた瞬間、老女は鬼の姿に戻り、自分の腕を取り返して天井を破って飛び去った。
別の伝本では、この鬼は一条戻橋に現れたとされ、茨木童子であったとも語られる。同じ話が場所と名前を変えて伝わっており、どちらが原型かは定まっていない。
羅城門は平安京の正門でありながら、10世紀には荒廃し、死体が捨てられる場所になっていた。芥川龍之介『羅生門』が描いたのもその状態である。都の正門が無法地帯になるという事実そのものが、鬼を生む土壌だったのだと思う。