京都府 / 近畿地方 / 人間由来 / 分類:人間由来

羅城門らじょうもんの鬼

らじょうもんのおに
複数確認
門の上に鬼がいる。渡辺綱わたなべのつなが腕を斬り落とし、その腕は後に取り返された。

羅城門らじょうもんの鬼は、平安京の南端にあった羅城門らじょうもんに棲むとされた鬼。源頼光みなもとのよりみつの四天王のひとり、渡辺綱わたなべのつなとの対決で知られる。

『平家物語』の剣巻つるぎのまきや、能『羅生門』に語られる筋はこうである。頼光の郎党ろうとうたちが宴席で、羅城門らじょうもんに鬼が出るという噂を話題にした。綱がそれを確かめに行くと、背後から兜をつかまれる。振り向きざまに斬りつけると、鬼の腕が斬り落とされた。綱はその腕を持ち帰り、厳重に封をして保管する。

数日後、綱の伯母と名乗る老女が訪ねてくる。腕を見せてほしいと請われ、綱が箱を開けて見せた瞬間、老女は鬼の姿に戻り、自分の腕を取り返して天井を破って飛び去った。

別の伝本では、この鬼は一条戻橋いちじょうもどりばしに現れたとされ、茨木童子であったとも語られる。同じ話が場所と名前を変えて伝わっており、どちらが原型かは定まっていない。

羅城門らじょうもんは平安京の正門でありながら、10世紀には荒廃し、死体が捨てられる場所になっていた。芥川龍之介『羅生門』が描いたのもその状態である。都の正門が無法地帯になるという事実そのものが、鬼を生む土壌だったのだと思う。

おまけ(台帳データ)
伝承地
京都市南区・羅城門らじょうもん跡(平安京朱雀大路すざくおおじの南端)
別名・異名
一条戻橋いちじょうもどりばしの鬼、茨木童子と同一視されることがある
時代
平安時代の出来事として語られる。文献としての記録は中世以降
動物との関係
特に確認できていない
類似・関連妖怪
茨木童子(同一視されることがある)、酒呑童子(頼光四天王が関わる鬼退治譚として同系統)
学術的解釈
荒廃した都の正門という、境界かつ無法の場所に鬼が置かれている。都市の周縁部に怪異が配置される構造の典型例
柳田國男やなぎたくにおの見解
この妖怪について具体的に言及した記述は確認できていない
小松和彦こまつかずひこの見解
この妖怪について具体的に言及した記述は確認できていない
現代文化
能『羅生門』、芥川龍之介『羅生門』など、繰り返し題材にされてきた
伝承の現況
羅城門らじょうもん跡には石碑が立ち、京都の史跡として残る