席取り狸は、荷物を置いて席を確保したまま、長く戻ってこない者に取り憑く。鞄が、上着が、飲みかけのカップが、そこに人がいることを装い続ける。本人は、少し席を外しただけのつもりである。だが、その間、空いている席を探して立っている人が、何人も通り過ぎている。席取り狸は、物が人の代わりを務めてしまうという、不思議な状況を作り出す。実際にはそこに誰もいないのに、誰かがいることになっている。荷物を持って立つ、という一動作が、この妖怪を落とす唯一の方法である。
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