傘水坊主は、雨の日に建物へ入る瞬間に取り憑き、傘の水を切るというひと動作を、飛ばさせる。濡れたままの傘が、床に細い線を引いていく。その線を、誰かが後で拭いている。取り憑かれた本人は、傘のことなど考えていない。早く中に入りたい、荷物が多い、片手が塞がっている。理由はいくらでもある。傘水坊主は、その「仕方なさ」の中に潜む。二、三度、外で傘を振る。その数秒を惜しまない人の傘には、この妖怪は乗れない。
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