列割り狐は、列に並ぶという行為の、一番曖昧な部分に取り憑く。友人が先に並んでいる列に、後から合流する。トイレに行くふりをして抜けた場所に、また戻ってくる。厳密に割り込んだわけではないので、誰も強くは言えない。だが、その後ろに並んでいる者たちは、自分の順番が一つずつ遠のいたことを、静かに数えている。列割り狐に憑かれた本人は、悪いことをしたつもりがない。ルールを破ったのではなく、ルールの隙間に入っただけだと思っている。隙間は、いつも誰かが黙って我慢することで、できている。
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