功盗(こうとう)は、自分の実績を語る場に居着く。面談の席、懇親会、初対面の相手との名刺交換の直後。そこで口を開いた者に、他人の功績を自分の功績として語らせる。武勇伝は語れば語るほど輪が広がり、聞き手はもっと詳しく知りたがる。「それで、具体的には?」「どうやったんですか?」。本当は自分が成し遂げたことではないので、答えられるはずがない。
焦りで汗がにじみ、ストレスで髪が抜け、やがて頭頂部だけが、皿もないのに禿げていく。逃げるように背中が丸まり、足はガニ股になる。
功盗ブーメランハゲ坊の本当の恐ろしさは、自分がついた嘘そのものが、質問の形をとって、自分の頭にそのまま返ってくることだという。
他人の功績を自分のものとして語らせる。一度語ってしまうと、引き返すには嘘を認めるしかなくなり、嘘を重ねる方が楽になる。一体になれば、自分が何を成したのか、本人にも分からなくなる。
小物の妖怪は、悪戯好きだと思って可愛がりながら、うまく付き合えばいい。だが大妖怪は違う。絶対に一体になってはならない。