風見坊は、部屋の中の力関係を、誰よりも早く読む。声の大きい者が現れると、それまでの自分の意見を、静かに、しかし完全に変える。反対していたはずの案に、いつのまにか賛成している。本人にとってそれは処世術であり、悪意はない。しかし、風見坊がどちらを向くかを見て、周囲は「今、力を持っているのは誰か」を知るようになる。風見坊自身の意見は、誰の記憶にも残らない。風向きだけが記憶され、風見坊という存在は、風向きの表示板としてしか扱われなくなっていく。
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