天蓋藪は、紀の川市貴志川町の丸栖の北山に伝わる竹藪の怪異。ある男が家へ帰る途中、寂しい竹藪の前まで来ると、道の真ん中で鯉が二匹、ぴょんぴょんと跳ねていた。捕まえようと手を伸ばすが、その度に逃げる。何度か繰り返すうち、気づけば竹藪の中に入り込んでいた。するとどこからともなく怪しい光を放つものが飛び出し、男の頭上をくるくると舞う。よく見ると、それは葬式で使う天蓋であった。男は怖くなって、一目散にその場を離れたという。地元では、その竹藪を「天蓋藪」と呼んでいる。鯉で誘い込んでから正体を見せるという、二段構えの化かし方が特徴である。