和歌山県 / 近畿地方 / 正体不明・怪異譚系 / 分類:正体不明・怪異譚系

天蓋藪

てんがいやぶ
単一資料
道で跳ねている鯉を追いかけた。気づくと、竹藪の中に立っていた。

天蓋藪は、紀の川市貴志川町の丸栖の北山に伝わる竹藪の怪異。ある男が家へ帰る途中、寂しい竹藪の前まで来ると、道の真ん中で鯉が二匹、ぴょんぴょんと跳ねていた。捕まえようと手を伸ばすが、その度に逃げる。何度か繰り返すうち、気づけば竹藪の中に入り込んでいた。するとどこからともなく怪しい光を放つものが飛び出し、男の頭上をくるくると舞う。よく見ると、それは葬式で使う天蓋であった。男は怖くなって、一目散にその場を離れたという。地元では、その竹藪を「天蓋藪」と呼んでいる。鯉で誘い込んでから正体を見せるという、二段構えの化かし方が特徴である。

おまけ(台帳データ)
伝承地
和歌山県紀の川市貴志川町・丸栖の北山
別名・異名
時代
採録時期は不明。地元での呼称として現在も伝わる
動物との関係
特に確認できていない
類似・関連妖怪
狐火きつねび(各地)、送り提灯ちょうちん(各地の、光が人を惑わす怪異)
学術的解釈
竹藪という境界の場所で起きる怪異。鯉という日常的な生き物で誘い込み、天蓋という葬送そうそう具を見せるという構成は、生と死の境を越えさせられる感覚を表しているとも読める
柳田國男やなぎたくにおの見解
この妖怪について具体的に言及した記述は確認できていない
小松和彦こまつかずひこの見解
この妖怪について具体的に言及した記述は確認できていない
現代文化
和歌山市の漫画家マエオカテツヤによって絵と文で紹介され、地方紙の連載で取り上げられた
伝承の現況
竹藪の呼称として地名に残っている