見越し入道は、夜道で人の前に立ちはだかる大入道。見上げれば見上げるほど背が高くなり、最後にはのけぞった相手の喉笛を噛み切る、あるいは倒れたところを踏み殺すという。
対処法が全国でほぼ共通しているのが、この妖怪の特徴である。「見越した」「見越し入道見抜いた」と唱える、あるいは足元から順に見下ろしていく。すると妖怪は消える。見上げれば負け、見下ろせば勝ち、という単純な規則が、各地で同じように伝わっている。
正体は狸や狐、獺の仕業とされることが多い。木の葉や霧が重なって大きく見えたのだという説明もある。坂道や峠で、遠くの木立が急に近づいて見える錯覚を、この妖怪で説明したのかもしれない。
名前の系統は各地に広い。大入道、一つ目入道、次第高、伸び上がり、乗り越し入道。いずれも「上に伸びる」という一点で共通している。妖怪が背を伸ばすという発想は、暗い夜道で距離感が失われる感覚と、うまく噛み合っている。