近現代妖怪 / みんなの場所にいる妖怪

礼言虫

れいごんむし
窓口、応対記録。「照会に対する返答の前、『ありがとうございます』。感謝の対象、不明」

礼言虫は、人の口の中に棲み、何か言おうとする一瞬の隙に、先に「ありがとうございます」と言わせてしまう。質問されただけなのに、感謝している。困っているのに、礼を言っている。本人は、言ってから「今、何に礼を言ったのだろう」と一瞬考えるが、会話はもう次に進んでいる。

礼言虫は、言葉が本心より先に出てしまう場所に棲む。相手を敬うためではなく、間を埋めるために、その言葉は使われる。だからこの妖怪に憑かれている間、本当に感謝したい場面が来ても、その言葉はもう軽くなってしまっている。

振り落とす方法は一つ、口を開く前に、ひと呼吸だけ置くことである。その一拍の中で、礼言虫は落ちる。

見かけやすい条件
質問された直後、本題に入る前の一瞬
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