終電の車両の隅、誰も座っていない席の背もたれだけが、わずかに窪んでいることがあるという。復員虫は、長く多くの人を運び続けた古い車両に居着く妖怪だとされる。特定の誰かについて回ることはなく、その車両から出ることもない。帰り着けなかった道のりの記憶が、座席の形にだけ残っているのだという。降りる駅で、その窪みがふっと元に戻る様子を見た、という話が伝わっている(実在の災禍を描いたものではなく、あくまで創作上の設定です)。
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