がしゃどくろは、野ざらしになった戦死者や餓死者の骨が集まって生まれたとされる、巨大な骸骨の妖怪。夜中に現れ、ガチガチという音を立てて歩き、人を見つけると掴んで喰らうという。
ただし、この妖怪には注意が必要である。がしゃどくろという名称は、**1960年代以降に作られたもの**とされ、古い民間伝承には存在しない。妖怪研究家の村上健司をはじめ、複数の研究者が現代の創作であると指摘している。
発想の元になったとされるのが、歌川国芳の浮世絵『相馬の古内裏』(1845年頃)である。平将門の娘・滝夜叉姫が妖術で呼び出した巨大な骸骨が、御所の跡で大宅太郎光圀に迫る場面を描いたもので、この絵の迫力が後の骸骨妖怪の造形に大きく影響した。ただし国芳の絵は山東京伝の読本『善知安方忠義伝』を典拠としており、原作では骸骨は複数体で、巨大な一体ではない。
この台帳では、がしゃどくろを創作寄りの妖怪として扱う。伝承として古くから伝わってきたものではなく、戦後の妖怪ブームの中で形を与えられたものだからである。ただし、現代において最も広く知られた妖怪の一つであることも確かで、新しい妖怪がどう作られるかを示す例として記録しておく価値がある。