青行燈は、百物語の席に現れるとされる妖怪。鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(1779年)に、青い着物を着た角のある女の姿で描かれている。
百物語は、夜に人が集まって怪談を語る遊びで、百本の灯心を立て、一話終えるごとに一本ずつ消していく。最後の一本が消えて座が闇になったとき、本物の怪異が現れるとされた。その現れるものが青行燈である。
そのため、百物語では九十九話で止めるのが作法とされた。最後の一話を語らないことで、怪異を呼び込まずに済む。石燕の解説文にも、青い紙を貼った行燈のもとで百物語をすると、百話目で怪しいものが現れると記されている。
この妖怪の面白いところは、**怪談を語るという行為そのものに憑いている**点だと思う。特定の場所や物ではなく、人が集まって怖い話をする、その状況に現れる。語ることで呼び出される妖怪、という構造は他にあまり例がない。
この台帳の「江戸怪談百物語」で九十九話を書いているのも、この作法に倣っている。百話目は書かない。