天邪鬼は、人の心を読み取り、わざと逆らう行動をとるとされる小鬼。『古事記』『日本書紀』に登場する天探女(あまのさぐめ)が起源とされる。天探女は天の意志を探り、それを地上に伝える役割を持つ神だったが、その名と役割が変質し、人の心を見透かして邪魔をする存在になったと考えられている。
仏教美術では、四天王や執金剛神が踏みつけている邪鬼として造形されている。奈良・東大寺をはじめ、多くの寺院でその姿を見ることができる。踏まれながらも苦しげな表情で耐えている姿が、どこか人間くさい。
昔話では、瓜子姫を襲う悪役として全国に伝わる。瓜から生まれた娘が、天邪鬼に騙されて殺され、その皮を被った天邪鬼が姫になりすます、という筋である。地方によって結末は大きく異なり、天邪鬼が退治される話もあれば、姫が助からない話もある。
現代では「あまのじゃく」という言葉が、素直でない人を指す日常語として残っている。妖怪の名がそのまま性格を表す言葉になった例は、それほど多くない。