要点:グセルクマブはIL-23p19を選択的に阻害する抗体製剤で、2018年5月に乾癬領域(尋常性乾癬・関節症性乾癬・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症)で販売が始まり、同年11月に「既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症」への効能追加が承認された。
「日本で初めて掌蹠膿疱症に適応を取った生物学的製剤」という説明を聞いたとき、治療の地図が一段更新された感覚があった。
日本初の掌蹠膿疱症治療薬
グセルクマブはIL-23p19を選択的に阻害する抗体製剤で、2018年5月に乾癬領域(尋常性乾癬・関節症性乾癬・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症)で販売が始まり、同年11月に「既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症」への効能追加が承認された。生物学的製剤としては日本初の掌蹠膿疱症治療薬になる。
PPP3001試験の中身
根拠になったのはPPP3001試験という国内第3相試験で、内容はかなり具体的に公開されている。多施設共同・ランダム化・二重盲検・プラセボ対照という設計で、既存治療で効果不十分、PPPASI(掌蹠膿疱症の皮疹の面積と重症度を表す指数)が12以上、手のひらまたは足の裏に中等度以上の膿疱・小水疱がある日本人患者159例が対象になった。登録された患者の平均年齢は46.8歳、女性が126例(79.2%)と、女性が大きく多い構成だった。投与は0週・4週、その後は8週間隔の皮下注射という間隔になる。
数字で見る効果
結果を数字で見ると、16週時点のPPPASIスコアの変化量は、100mg群が−15.3、200mg群が−11.7に対し、プラセボ群は−7.6だった。つまり「何もしなくても(プラセボでも)ある程度は下がる」一方で、グセルクマブを使った群はそれを上回って有意に改善している。症状が50%以上改善した人の割合(PPPASI-50達成率)は、16週時点で57.4%、52週すなわち1年時点では83.3%に達したと報告されている。効果は52週までおおむね継続して向上・維持された。
安全性と事前検査
安全性については、52週後の重篤な有害事象は3例(5.6%)で、忍容性に大きな問題はなかったとされている。ただし注意点はある。IL-23を抑えるということは免疫のはたらきを抑えるということなので、細菌・ウイルス・真菌による感染症のリスクが上がる可能性がある。そのため、治療を始める前には結核感染のスクリーニングを受ける必要がある。重大な副作用として、重篤な感染症と重篤な過敏症が挙げられている。
どういうしくみで効くのか
しくみとしては、PPPの病態にIL-23が関与していて、その下流にあるTh17細胞やIL-17/IL-22の産生を抑えることで改善効果が期待されている。外用療法や光線療法、内服でコントロールが難しい難治例に対する選択肢、という位置づけは今も変わらない。
よくある質問
グセルクマブはどのくらい効きますか?
国内第3相試験では、症状が50%以上改善した人の割合(PPPASI-50達成率)が16週時点で57.4%、52週時点で83.3%と報告されています。
誰でも使えますか?
既存治療で効果不十分な場合が対象です。投与前には結核感染のスクリーニングを受ける必要があります。
どのくらいの頻度で注射しますか?
0週・4週に投与し、その後は8週間隔の皮下注射となります。
副作用はありますか?
52週後の重篤な有害事象は3例(5.6%)と報告されています。免疫を抑える薬のため、重篤な感染症や過敏症が重大な副作用として挙げられています。