要点:掌蹠膿疱症患者の喫煙率は70〜90%にのぼると報告されており、これは一般人口の喫煙率と比べて明らかに高い。
掌蹠膿疱症の話をすると、必ず最初に聞かれるのが「タバコは吸ってる?」だった。この質問の頻度そのものが、この病気とタバコの距離の近さを表している気がする。
どれくらい関係があるのか
掌蹠膿疱症患者の喫煙率は70〜90%にのぼると報告されており、これは一般人口の喫煙率と比べて明らかに高い。別の報告では、患者の85%以上が喫煙者で、特に女性患者の喫煙率が高く、ヘビースモーカーが多いことも指摘されている。禁煙によって症状が軽減した例も報告されているため、喫煙は発症ないし悪化に関与する因子として、診療ガイドラインでもほぼ例外なく最初に触れられる項目になっている。
数字で見る禁煙の効果
数字で見ると、この関係の強さはかなりのものだ。現在喫煙している場合、喫煙歴がまったくない場合と比べて発症リスクは74倍にのぼるという報告がある。逆に喫煙歴のない患者では、発症したとしても症状は軽いことが知られている。そして禁煙によって症状が良くなることは、前向き研究によって示されている。大規模な追跡調査では、喫煙を続けた人と比べて禁煙した人は掌蹠膿疱症のリスクが29%低下し、禁煙状態を長期間維持した人では44%低下したと報告されている。
なぜタバコが手足に効くのか
なぜタバコがこの病気に関わるのか、そのしくみも少しずつ分かってきている。患者の42%で、血液中に抗ニコチン受容体抗体が検出されたという報告がある。手のひらと足の裏の皮膚では、ニコチン受容体のα7というサブユニットが他の部位より強く出ていて、特に表皮内の汗管(汗の通り道)で高くなっている。掌蹠膿疱症の初期の病変が、この表皮内汗管から始まることも示されている。つまり「タバコを吸う→抗ニコチン受容体抗体ができる→受容体の多い手足の汗管に抗体がくっつく→汗管を中心に炎症が起きる」という経路が想定されている。手のひらと足の裏という、一見不思議な場所に症状が出る理由が、ここで少しつながって見える。
禁煙だけでは治らない
ただし、禁煙だけで治ることはむしろ稀だとされている点は、正直に知っておいたほうがいい。禁煙は単独で完結する治療ではなく、他の治療の効きを支える土台という位置づけになる。また喫煙は歯周炎の悪化因子でもあるので、次に出てくる病巣感染の治療とも地続きになっている。禁煙外来を使う手もある、という選択肢は持っておいて損がないと思う。
よくある質問
禁煙すれば掌蹠膿疱症は治りますか?
禁煙のみで治ることはむしろ稀とされています。ただし喫煙者の発症リスクは非喫煙者の74倍という報告があり、禁煙により症状が良くなることは前向き研究で示されています。他の治療の効きを支える土台と考えるのが現実的です。
どのくらいリスクが下がりますか?
大規模な追跡調査では、喫煙を続けた人と比べて禁煙した人は掌蹠膿疱症のリスクが29%低下し、禁煙状態を長期間維持した人では44%低下したと報告されています。