要点:JAK阻害薬は、炎症性サイトカインの刺激を細胞内に伝えるJAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素を阻害する内服薬で、関節リウマチでは生物学的製剤とほぼ同等かそれ以上の効果があるとされている。
関節リウマチの治療で聞いたことがあった薬の名前が、皮膚科の文脈でも出てきたときは少し驚いた。
どんな薬か
JAK阻害薬は、炎症性サイトカインの刺激を細胞内に伝えるJAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素を阻害する内服薬で、関節リウマチでは生物学的製剤とほぼ同等かそれ以上の効果があるとされている。
作用点が生物学的製剤と違う
これまでの生物学的製剤が「細胞の外を飛んでいるサイトカインそのもの」を捕まえる薬だったのに対し、JAK阻害薬は「受け取った信号を細胞の中で伝える段階」を止める。同じ炎症の連鎖でも、止める場所が細胞の外か中かが違う。内服薬でありながら全身の炎症に作用できるのは、この作用点の違いによる。
膿疱性乾癬での知見
皮膚科領域では、膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症に対するJAK1阻害薬・TYK2阻害薬の使用ガイダンスが日本皮膚科学会から出されており、臨床試験では16週後に膿疱性乾癬患者全例で重症度スコアの改善が確認されたと報告されている。
掌蹠膿疱症への適応はまだない
ただし、これらのガイダンスが対象にしているのは膿疱性乾癬であり、掌蹠膿疱症そのものへの適応ではない点は、はっきり区別して理解する必要がある。名前も見た目も似ている病気だが、保険上の扱いは別物だ。現時点では、掌蹠膿疱症に対するJAK阻害薬は研究段階、あるいは類縁疾患の知見からの応用という位置づけになる。
管理上の注意
免疫のはたらきを内側から抑える薬なので、感染症のリスク管理は生物学的製剤と同様に必要になる。使用にあたっては施設要件や事前検査の条件も定められている。
よくある質問
掌蹠膿疱症に使えますか?
現時点では研究段階、あるいは類縁疾患の知見からの応用という位置づけです。日本皮膚科学会のガイダンスが対象にしているのは膿疱性乾癬であり、掌蹠膿疱症そのものへの適応ではありません。