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ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K.310 第2楽章 アンダンテ・カンタービレ・コン・エスプレッシオーネ
母の死の頃に書かれたイ短調ソナタの中央で、ヘ長調の歌が静かに流れる緩徐楽章です。モーツァルトの数少ない短調ソナタの陰影を和らげます。
作曲の経緯
1778年の夏、パリ滞在中に書かれました。母アンナ・マリアが亡くなった時期と重なり、モーツァルトにとって最も辛い時期の一つにあたります。モーツァルトのピアノ・ソナタで短調のものは、この曲と第14番K.457の2曲だけで、同時期のヴァイオリン・ソナタ第21番ホ短調K.304とあわせ、母の突然の死が曲の暗い色合いに影響したのではないかと言われています。ただし、書簡でこの曲にほとんど触れられていないため、作曲の細かな事情はよく分かっていません。自筆譜はニューヨークのモルガン・ライブラリー&ミュージアムに所蔵され、交響曲第31番K.297と同じ種類の、パリで買った紙が使われています。
出版・初演
初版は未確認です(1792年頃のアルタリア版がハーバード図書館に所蔵)。
題名・通称の由来
愛称はありません。K.310/300dはケッヘル番号の旧番号と改訂番号の併記です。
構成分析
- ソナタ全体 第1楽章Allegro maestoso(イ短調4/4)、第2楽章Andante cantabile con espressione(ヘ長調3/4)、第3楽章Presto(2/4)の3楽章です。
- 本楽章の位置 短調の両端楽章にはさまれたヘ長調の緩徐楽章です。
- 発想標語 「歌うように、表情豊かに」を意味し、旋律の歌わせ方が主眼にあります。
音楽的特徴
両端楽章がイ短調の悲痛なソナタの中で、ヘ長調の穏やかな歌を聴かせる緩徐楽章です。標語どおり旋律の歌い方が中心で、全曲の緊張を和らげる役割があります。母の死との関係はあくまで推測とされ、楽章ごとの具体的な感情表現と結びつける確かな出典は確認できませんでした。
演奏のポイント
3/4拍子の流れを保ち、旋律線を歌わせて左手の伴奏を支えに回します。強弱の対比は表情標語に沿って丁寧につけ、全曲の短調楽章との性格の違いを意識すると楽章の位置づけが伝わります。
この音源について(収録エピソード)
ピリスのDG盤『モーツァルト:ピアノ・ソナタ K.310・K.333・K.545』は1989年11月7日発売です。ピリスは1989年にDGと専属契約を結んでおり、DG公式の経歴によれば、K.310・K.333・K.545を含む録音は1990年にグラン・プリ・デュ・ディスクを受けました。録音年・会場は確認できませんでした。
音源の投稿元(Maria João Pires - Topic)はoEmbedで確認済みです。トラックと上記アルバムの対応は、題名一致からの推定です。「未確認」は出典で確認できなかった項目です。
録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
確認できた出典はありません。
映画・ドラマ・アニメ
- ボーンズ 骨は語る(TVドラマ)S11E20「The Stiff in the Cliff」(2016)
結婚式のドレスを試着するシーンで使われています(Tunefindの記載です。グールド録音です)。
CM
確認できた出典はありません。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K.457
- ヴァイオリン・ソナタ第21番 ホ短調 K.304
- ピアノ・ソナタ第7番 ハ長調 K.309
同じ作曲者の曲
ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.331 第1楽章(主題と6つの変奏) / アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525 第1楽章 / 歌劇「魔笛」より 夜の女王のアリア「復讐の心は地獄のように我が胸に燃え」 / 歌劇「フィガロの結婚」より 手紙の二重唱(そよ風によせて) / アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618
トリビア
- モーツァルトのピアノ・ソナタで短調なのは、K.310とK.457の2曲のみです。
- 自筆譜はモルガン・ライブラリー&ミュージアムが所蔵しています。
- 全曲の演奏時間は約22分とされます。