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4つの即興曲 Op.90 D.899 第3番 変ト長調
変ト長調の長い旋律が、竪琴のような分散和音に乗って流れるシューベルト晩年の歌です。映画でもおなじみの一曲です。
作曲の経緯
シューベルトは1827年に、のちにD.899(Op.90)とD.935(Op.142)となる各4曲、計8曲の即興曲を書きました。D.899のうち、生前に出版されたのは最初の2曲だけで、第3番と第4番は1857年にようやく出版されました。第3番はその際、変ト長調ではなくト長調に移して印刷され、長い間その調の楽譜しか流通しませんでした。ドイツ語版Wikipediaは、出版社ハスリンガーが原調を複雑すぎると考え、弾きやすさのため移調を勧めたと説明します。即興曲という呼称もハスリンガーに由来します。変ト長調の長い旋律線と途切れない分散和音の伴奏が特徴で、第1番や第2番とともに今日も広く演奏されます。
出版・初演
Op.90の第1・2番はシューベルト存命中に出版されました(出版社はハスリンガー)。第3・4番は1857年に出版され、第3番は長くト長調で流通しました。
題名・通称の由来
「即興曲(Impromptu)」という名称は、D.899の4曲についてはウィーンの出版社トビアス・ハスリンガーによるとされます(ドイツ語版Wikipedia)。通称の「秋」「夜」のような愛称は確認できませんでした。
構成分析
- 拍子と速度 Andante、4/2拍子です(alla breve)。ゆったり流れます。
- 旋律と伴奏 右手が旋律と伴奏を同時に受け持ちます。5指が旋律を歌い、他の指が竪琴のような分散和音を奏でます。
- 和声 旋律の下で、新しい和声の動きが加わり表情を変えていきます。
- 形式感 第1番や第3番は、展開部のない序曲形式に近いです(ドイツ語版Wikipedia)。
音楽的特徴
静かな夜想曲風の歌で、長い旋律線と途切れない三和音の分散伴奏が続きます。旋律は一貫して歌い、和声の移ろいが陰影を与えます。同じ右手で旋律と伴奏を弾くピアノ的な魅力があり、映画の場面にもたびたび使われています。
演奏のポイント
5指で歌う旋律を、内側の分散和音より前へ出して保つことが要点です。伴奏の音量と均一さを保ちつつ、歌心を失わないようにします。ペダルは和声の変化を濁さぬよう慎重に使います。
この音源について(収録エピソード)
アルバム『Schubert』は、2018年12月19日から23日にかけて、オーストリア西部ホーエンエムスのマルクス・ジッティクス・ザールで録音されました。収録は最後のピアノ・ソナタD960、4つの即興曲D899、リスト編の「セレナーデ」で、2019年3月15日にSony Classicalから発売されました。エグゼクティブ・プロデューサーはジャック・ライアン・スミス、ピアノ技術者はパスカル・モンティが務めました。第3番の演奏時間は約6分18秒です。
音源の投稿元(KhatiaBuniatishVEVO)はoEmbedで確認済みです。「未確認」は出典で確認できなかった項目です。
録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
確認できた出典はありません。
映画・ドラマ・アニメ
- ガタカ(1997)
12本指のピアニストの演奏会の場面です(マイケル・ナイマン編曲版です。英語版Wikipediaの記載によります)。 - 愛、アムール(2012)
第1番・第3番が使用され、アレクサンドル・タロー演奏でサウンドトラック化されています。 - The Lady in the Van(2015)
作中で第3番が演奏され、サウンドトラックにも収録されています。
CM
確認できた出典はありません。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- 即興曲 D.899 第1番 ハ短調
- 即興曲 D.899 第2番 変ホ長調
- 即興曲 D.935 Op.142
- 楽興の時 D.780
- 3つのピアノ曲 D.946
同じ作曲者の曲
トリビア
- 第3番は出版時にト長調に移され、長年その調で流通しました。
- Manfred Mann's Earth Bandの1976年の曲「Questions」は、この変ト長調の即興曲の主題が基になっています。
- 映画『ガタカ』では、ナイマン編曲版の演奏が『12本の指でなければ弾けない』と語られます。
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出典
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