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野ばら
ゲーテの詩に付けた1815年の有節歌曲です。3節が同じ旋律で歌われる素朴な作品で、ウェルナー版と並んで『野ばら』の名で親しまれています。同じ旋律だからこそ、節ごとの声の表情を聴き分ける面白さがあります。
作曲の経緯
ゲーテが1771年頃、シュトラスブルク留学中に書いた詩(ゼーゼンハイムの牧師の娘フリーデリケ・ブリオンとの恋が背景とされる)に、シューベルトが1815年8月19日に付けた歌曲です。詩は、野に咲く赤い薔薇を少年が摘もうとし、薔薇は棘で刺すと警告するが、結局少年は摘んでしまう、という内容で、解釈には多様な見方があります。シューベルトは3つの節すべてに同じ旋律を当て、民謡に近い素朴な旋律に仕上げました。英語版Wikipediaによれば、この旋律はモーツァルト《魔笛》第1幕終わりのパミーナとパパゲーノの二重唱(Könnte jeder brave Mann)を部分的に下敷きにしています。ドイツ語版Wikipediaは、ドイツ語圏で『魔王』と並ぶ、あるいは『菩提樹』と並ぶ最も有名なシューベルト作品の一つとしています。
出版・初演
作品3-3として出版されました(初出版の年・出版社は未確認です)。
題名・通称の由来
ゲーテの詩の題『Heidenröslein』です(荒野=Heideに咲く野ばら)。-nは連結音です。『Heideröslein』とも書かれます(ドイツ語版Wikipedia)。
構成分析
- 第1節 少年が朝の露のように若い薔薇を見つけ、駆け寄って見とれます。
- 第2節 少年が摘むと言い、薔薇は棘で刺して自分を忘れさせないと警告します。
- 第3節 少年は結局摘み、薔薇は刺して抵抗するが、嘆いても無駄でそれに耐えるしかありません。
- 後奏 短い後奏が付きます(ドイツ語版Wikipedia)。
音楽的特徴
3節が同一の旋律と伴奏で歌われる有節歌曲です。各節の終わり2行は詩の側で繰り返されます。声楽曲として簡潔で、民謡風の親しみやすさが特徴です。ヴェルナー版(1829)の素朴な旋律は19世紀の歌集を通じて広まり、日本でもこの曲が『野ばら』として歌われてきました。
演奏のポイント
節ごとに声の表情をどう変えるか、無邪気さ、警告、諦めという変化を追いたいです。同じ旋律をどう歌い分けるかが聴きどころです。
この音源について(収録エピソード)
この音源の収録エピソードは、出典で確認できませんでした。
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録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
- フィッシャー=ディースカウ(Br)/ムーア(Pf)(1965(EMI、MusicWeb記載)/1966-69(DG))
MusicWebは1965年録音とし、DG版(Goethe-Lieder所収、1分46秒)はUFA-Tonスタジオでの1966年12月〜1969年3月のセッションに含まれます(Discogs)。 - ペーター・シュライアー(T)/ルドルフ・ブッフビンダー(Pf)(年は未確認)
英語版Wikipediaが外部リンクで紹介しています。 - バーバラ・ボニー(S)(年は未確認)
YouTubeのTopic配信を確認しています(h_3_KsAVfs8)。
映画・ドラマ・アニメ
確認できた出典はありません。
CM
確認できた出典はありません。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- ヴェルナー作曲《野ばら》(1829)
- ブラームス編《Heidenröslein》(ライヒャルト旋律)WoO31-6
- シューマン《ハイデレースライン》混声合唱 作品67-3(1840)
- レハール《フリーデリケ》(1928)のなかの挿入
- ラムシュタイン《Rosenrot》(詩を主題化)
同じ作曲者の曲
トリビア
- ウェルナー版は1829年1月20日、作曲者が指揮するブラウンシュヴァイクのリーダーターフェルの演奏会で初演されました(ドイツ語版Wikipedia)。
- ヴェルナーの旋律は、検閲を風刺した替え歌『Sah ein Fürst ein Büchlein stehn』にも使われました(同)。
- 詩の最後の節には初版(1789年ゲッシェン版)と1827年決定版で語形の異同があります(英語版Wikipedia)。