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荒城の月
土井晩翠の詩に滝廉太郎が曲を付けた1901年の唱歌です。栄枯盛衰を映す荒城の月を歌い、山田耕筰の編曲版とともに国内外で親しまれています。
作曲の経緯
1898年、東京音楽学校が懸賞用の唱歌のため、東京大学にいた土井晩翠に詩を依頼しました。原題は『荒城月』です。これに同校の滝廉太郎が曲を付け、1901年3月に『中学唱歌』に収録されました。原曲は伴奏のない歌で、西洋音楽の旋律を広く大衆に広めた日本最初期の本格的な歌曲とされます。詩のモデルには、晩翠の故郷仙台の青葉城跡、会津若松の鶴ヶ城跡などが挙げられ、廉太郎の側では少年期に過ごした富山城や、大分県竹田の岡城跡から着想を得たと伝えられます(ただし諸説あります)。廉太郎は1903年に23歳で亡くなり、1917年に山田耕筰が移調してピアノ伴奏を補い、旋律にも改変を加えました。詩は、栄華を誇った城が荒れ果てた今も、変わらず照らす月を歌いました。
出版・初演
1901年3月に『中学唱歌』(東京音楽学校編)に収録されました。山田耕筰編曲の独唱版は1918年にセノオ音楽出版社から出版されました。
題名・通称の由来
土井晩翠の詩の原題『荒城月』を改めて『荒城の月』としました。荒れた城(荒城)と夜の月を詠む題です。
構成分析
- 第1節(春) 高楼での花見の宴と、かつての栄光はどこへ行ったかという問いです。
- 第2節(秋) 陣営の霜と雁、剣を照らした往時の光はいまいずこ、という問いです。
- 第3節 いま荒城の夜半の月は、誰のために変わらぬ光を放つのでしょうか。垣に残るのは蔓草、松に吹くのは風の音のみです。
- 第4節 天上の月は変わらないが、栄枯は移ろう世の姿をいまも映し続けます。
音楽的特徴
七五調の詩と西洋風の短調旋律を結びつけた作品です。旋律は短音階第4音が上がる部分(原曲)を含み、橋本国彦は欧州に紹介するなら山田版が適すると語ったとされます(原曲の音型がジプシー音階やハンガリー民謡を連想させるため)。山田版は旋律の半音下げとピアノ伴奏の追加で、歌曲としての性格を強めました。
演奏のポイント
静かな冒頭のロ短調(または山田版のニ短調)の旋律線に耳を向けたいです。同じ旋律で4節の情景を歌い分ける表現、山田版のピアノ伴奏の響きも聴きどころです。
この音源について(収録エピソード)
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録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
- 錦織健(T)(配信:Ken Nishikiori - Topic)
YouTubeのTopic配信を確認しています(hlEzAiDE8mQ)。収録アルバム・年は未確認です。 - 米良美一(年は未確認)
山田耕筰のピアノ伴奏を用い、原曲の旋律を歌った例としてWikipediaが紹介しています。 - スコーピオンズ(1978(日本公演))
中野サンプラザで原曲版を演奏します。ライブ盤『蠍団爆発!!』に収録されています(日本語版Wikipedia)。
映画・ドラマ・アニメ
- わが愛の譜 滝廉太郎物語(1993)
廉太郎のドイツ留学送別演奏会で『荒城の月』が歌われます。劇中の歌は山田耕筰の編曲版です(日本語版Wikipedia記載)。
CM
確認できた出典はありません。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- 滝廉太郎《花》(組歌『四季』)
- 滝廉太郎《憾(うらみ)》
- 山田耕筰《赤とんぼ》
- 土井晩翠『荒城月』(詩)
- 瀧廉太郎伝記映画『荒城の月』(1958、情報はジョルダン映画のみ確認)
トリビア
- 1989年のNHK全国アンケート『あなたが選ぶ日本のうた・ふるさとのうた』で第7位、2006年に文化庁とPTAが選ぶ『日本の歌百選』に選ばれました(日本語版Wikipedia)。
- ベルギーの修道院で山田耕筰版が聖歌として歌われているとされます(同)。
- 大分県竹田市のJR豊後竹田駅では、列車の接近メロディにこの曲が流れます(同)。