01古代信仰の基層
杉本寺の石段は、上れません。頼朝が鎌倉にやって来るより、450年も前。この谷には、もう祈りの場所がありました。杉本寺は734年、行基というお坊さんが開いたと伝わる、鎌倉で一番古いお寺です。1189年、火事でお堂が焼け落ちた夜、本尊の観音像は誰の手も借りず、自らこの杉の根元まで逃げていた、と伝わっています。すぐそばの大巧寺は「おんめさま」と呼ばれ、今も安産を願う人が絶えません。鎌倉を「武士の町」と思う前に、この土地がどれだけ古いか、感じていただけたらと思います。歩いて1時間で終わる、小さなコースです。頼朝より450年も前、と聞くと、頭がくらくらんぽしませんか。苔の石段を前にした時の、あの静けさは、行ってみないと伝わりません。
- 出発地点:鎌倉駅東口
- 鎌倉駅東口から 徒歩1.6km・約23分杉本寺一般¥300/中学生¥200/小学生¥100734年、行基開山の伝承。坂東三十三観音第一番。一般(高校生以上)300円・中学生200円・小学生100円、未就学児無料。
- 杉本寺から 徒歩1.5km・約21分大巧寺無料安産祈願で親しまれる「おんめさま」。
- 大巧寺から 徒歩200m・約3分解散地点:鎌倉駅東口
トリビア
杉本寺という名前は、1189年の火災で本尊の十一面観音が自ら大杉の下に避難していた、という伝承に由来しています。誰も動かしていないのに、気づいたら杉の根元に立っていたというのです。馬に乗ったまま門前を通ると必ず落馬するという「下馬観音」の伝承もあり、後に像の顔を袈裟で覆ったところ落馬が収まったため「覆面観音」とも呼ばれています。
季節の見どころ
大巧寺は「花の寺」として知られ、春は蝋梅・梅・木瓜(ぼけ)・山吹、初夏は紫陽花と金糸梅、盛夏はアガパンサス、秋は秋明菊、冬は万両の赤い実と椿が咲きます。杉本寺も四季それぞれに花があり、春は寒緋桜、秋は彼岸花と紅葉(11月下旬〜12月中旬が見頃)、冬は山茶花が見られます。名物の苔の石段は、雨の多い6月ごろが最も緑が深くなります。
寄り道スポット
杉本寺から徒歩5分ほどのところに、庭にカエルの置物が点在する小さなカフェと、十割そばの店があります。竹林で知られる報国寺・浄妙寺(このサイトの別コースで紹介)まで足を延ばすこともできますが、今日は杉本寺と大巧寺だけでも十分な散歩になるはずです。
歴史の基本知識
杉本寺・大巧寺
この知識の見方(神社と寺の違い・建築を見る目など7つの視点)は、コース別・歴史の基本知識のトップで解説しています。
- 行基04
- 奈良時代の僧。各地で寺院や社会事業に関わったと伝わり、杉本寺の開山にも名を残しています。
- 光明皇后05
- 聖武天皇の后。杉本寺は光明皇后の発願により建立されたと伝わります。仏教が国家事業だった時代の名残。
- 十一面観音03
- 杉本寺の本尊。三体が並んで祀られており、あらゆる方向から人々の苦しみを見て救うとされる観音の一形態。
- 坂東三十三観音霊場04
- 関東一円に広がる観音巡礼路。杉本寺はその第一番札所。
- おんめさま06
- 大巧寺の通称。安産・安胎の守り神として親しまれてきた、庶民の願いに直結した信仰。
