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ピアノ協奏曲第2番 第2楽章
ダーリ医師の治療で立ち直ったラフマニノフが書いた、静かで抒情的な緩徐楽章です。映画や歌にも転用された名旋律です。ピアノと木管が旋律を受け渡すところに、協奏曲ならではの対話の美しさを感じます。
作曲の経緯
1897年の交響曲第1番の初演失敗で、ラフマニノフは作曲できなくなりました。親族の勧めで神経科医ニコライ・ダーリの催眠療法を1900年1〜4月に受けて自信を取り戻し、同年夏にイタリアでシャリアピンの家に滞在しつつ、第2・第3楽章から書き始めました。この2楽章は1900年12月に、従兄のシロティの指揮、本人のピアノで先行初演されました。第1楽章は後から完成し、全曲は1901年11月(新暦)にモスクワで同じ二人により初演されて大成功を収めました。
出版・初演
グチェイリ社から1901年に出版されたとされます(出版年の記述に揺れあり)。作曲者自身による2台ピアノ版も同時に出版されました。1900年12月の先行初演はモスクワ貴族会館で、シロティにとって指揮デビューでした。
題名・通称の由来
楽章名はAdagio sostenutoです(ゆっくりと音を保って)。楽章名以外の通称は未確認です。
構成分析
- 導入 弦楽器の遅い和音が、ハ短調からホ長調へ転調して始まります。
- A部 ピアノが静かな伴奏音型を奏で、木管が旋律を歌います。
- 中間部 Più animato。ピアノの動きが活発になり盛り上がります。
- 再現 テンポが戻り、主題が回帰して静かに終わります。
音楽的特徴
第1楽章のハ短調から、遠隔のホ長調へ移り、弦の和音で静かに幕を開けます。ピアノは旋律をオーケストラ(特にフルートやクラリネットなどの木管)と受け渡しながら、細やかな音型で支える役割も担います。協奏曲全体の中で最も抒情的で、のちにポピュラー音楽にも転用された旋律をもちます。
演奏のポイント
ピアノは目立つ主役というより、木管の旋律に寄り添う対話の姿勢が大切です。分散和音の粒をそろえ、音量を抑えて息の長いフレーズを保ちます。中間部では高揚しすぎず、テンポの流れを保つことが重要です。
この音源について(収録エピソード)
リヒテルとヴィスロツキ指揮ワルシャワ・フィルによる第2番は、1959年4月26〜28日にワルシャワのフィルハーモニー・ホールで録音され、同年にドイツ・グラモフォンから発売されました。1960年にはグラン・プリ・デュ・ディスクを受賞したとされます。現在ではラフマニノフとチャイコフスキーの協奏曲の基準盤と見なされ、International Piano誌は音の明晰さと色彩・管弦楽的効果の幅を称賛しました。
音源の投稿元(Topic/レーベル公式)はoEmbedで確認済みです。「未確認」は出典で確認できなかった項目です。
録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
- ユジャ・ワン(指揮:グスターボ・ドゥダメル、ロサンゼルス・フィル)(年未確認)
ドイツ・グラモフォンによる第2楽章の映像が公式ページで確認できます。
映画・ドラマ・アニメ
- 逢びき (Brief Encounter)(1945)
場面は未確認です。 - 七年目の浮気 (The Seven Year Itch)(1955)
場面は未確認です。
CM
確認できた出典はありません。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- フランク・シナトラ「Full Moon and Empty Arms」(第3楽章主題)
- エリック・カルメン「All by Myself」(第2楽章に基づく)
- クライスラー編 ヴァイオリンとピアノ用「Preghiera」(1940年)
- ヴォカリーズ(同じラフマニノフの抒情曲)
- パガニーニの主題による狂詩曲 第18変奏(同じラフマニノフの名旋律)
同じ作曲者の曲
トリビア
- 作曲者自身がこの協奏曲を生涯で計143回ソリストとして演奏しました。
- 1900年12月の先行初演で指揮を務めたシロティにとって、これが指揮デビューでした。
- エリック・カルメンのヒット曲「All by Myself」(1975年)は、この第2楽章に基づきます。