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主よ人の望みの喜びよ
バッハのカンタータのコラールを、マイラ・ヘスがピアノ用にまとめた、流れるような伴奏に旋律が歌う名編曲です。一台のピアノに、歌と流れる器楽の旋律が一緒に収まっていることに心が弾みます。
作曲の経緯
原曲は、1723年のカンタータ「心と口と行いと生活で」BWV147(全10曲、2部構成)のコラールで、各部の終わり(第6曲と第10曲)に置かれています。ヨハン・シェープの旋律に、マルティン・ヤーヌスの賛美歌の2つの節を当て、独立した管弦楽の伴奏がつきます。第6曲の歌詞は「Wohl mir, dass ich Jesum habe」、第10曲は「Jesus bleibet meine Freude」です。ピアニストのマイラ・ヘスがこれをピアノ用に編曲し、1926年にピアノ独奏版を、1934年に連弾版をオックスフォード大学出版局から刊行しました。英語題はこのヘス版に由来し、現在よく知られる姿は主にこの編曲によります。
出版・初演
ヘス編曲:1926年にピアノ独奏版、1934年に連弾版です(オックスフォード大学出版局)。
題名・通称の由来
英語題「Jesu, Joy of Man's Desiring」はヘス版に付いた題で、原曲のどちらの歌詞とも一致しません。日本語題はそれに基づきます。
構成分析
- 主旋律 ピアノ右手の旋律がコラールを歌います。
- 伴奏 絶え間なく流れる三連系の動きが、曲全体を支えます。
- 原曲との関係 原曲は合唱+トランペット・ヴァイオリン・通奏低音です(オーボエ・ヴィオラは任意)。
音楽的特徴
原曲では、コラール旋律の合唱に、独立した器楽の流れる旋律がからみます。ヘス編曲はその両方を一台のピアノにまとめ、「素朴に、流れるように」と指示されています。弾きやすそうに聞こえて、内声の流れと旋律を同時に整えるのは容易ではありません。結婚式やアドベント、クリスマス、イースターなどでよく演奏されます。
演奏のポイント
伴奏の流れを均一に保ちつつ、旋律を歌わせます。英語版歌詞ではゆったりとしたテンポが慣例ですが、原曲のドイツ語の賛美歌は活気ある性格とされます。ヘス自身は「素朴に、流れるように」と記しています。
この音源について(収録エピソード)
ヒューイットがバッハ作品のピアノ編曲だけを集めて録音したアルバムです。ヒューイット自身の編曲のほか、ケンプフ、ダルベール、ハリエット・コーエンのためのバッハ曲集に収められた英国作曲家たちの編曲などを含みます。Hyperionの解説では、ピアノ的な装飾と技巧を抑え、どの楽器で弾いてもバッハらしく響くことを重んじた選曲とされます。ヘス編曲は戦時中にバッハを広く親しませたと紹介されています。制作・録音はルートヴィヒ・ベッケンホフ、発売は2001年8月です。なお編曲者ヘス自身の1928年1月17日の録音は「録音」の項をご参照ください。
音源の投稿元はoEmbedで確認済みです。このトラックが上記アルバムのものかは、演奏者とレーベルからの推定です。「未確認」は出典で確認できなかった項目です。
録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
- マイラ・ヘス(1928)
ニューヨークで1928年1月17日に初録音されています(YouTubeの説明によります)。 - マイラ・ヘス(1940)
編曲者自身の演奏です(英語版Wikipediaが言及)。
映画・ドラマ・アニメ
確認できた出典はありません。
CM
確認できた出典はありません。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- バッハ カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」
- ヨハン・シェープ「Werde munter, mein Gemüthe」
- G線上のアリア(同じバッハの人気編曲曲)
- ジョージ・ウィンストン「Joy」(アルバム『December』)
同じ作曲者の曲
トリビア
- アポロ100の1972年のインストゥルメンタル「Joy」が米Billboard Hot 100で6位になりました。
- ヘスはバッハを深く尊敬し、このコラールをピアノで即興的に弾くことも多かったといいます。
- 日本のビジュアルノベル『Wonderful Everyday』(2010年)で、ピアノ編曲が全編にわたり使われました。