Triumph

1997
地域 / シーン:Staten Island / Wu-Tang Clan
冒頭のラップは、この曲のために初めて書かれたものではなかった。制作時の回想から、完成までをたどる。
先に書かれたヴァースが「Triumph」を開いた
「Triumph」でInspectah Deckが披露したヴァースには、その前の出番があった。2015年のVladTVによる本人取材の紹介記事は、Tony Touchの『Power Cypha: 50 MCs, Volume 1』で使ったものを、Tony Touchの了承を得て再び録音したと伝える。まだ仕上がっていないRZAのトラックに、先に書かれた言葉が合ったという経緯だ。最初からこの曲専用に用意された名演、と考えると見落とす制作過程がある。
伴奏も完成形から逆算して考えると面白い。RZAは2005年のFresh Airで、短く刻む弦が上昇して消え、声、さらにギターとピアノへと音の組み合わせが移る、と説明した。音楽理論を学び、それまでのサンプリング経験と結びつけていた時期の曲でもある。ラップの交代だけでなく、同じ声の後ろで何が残り、何が引かれるかを追うと、別の聴きどころができる。
出来上がったヴァースは仲間にも重かった。GZAは2006年のAllHipHopで、Deckを聴いて自分が何を続けられるのか戸惑ったと振り返る。これは優劣を決める採点ではなく、同じ曲を作る側の実感だ。既に使った言葉であっても、別のビートと仲間の声に置かれることで、新しい働きをする。その組み合わせを聴く曲として「Triumph」を捉え直したい。
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2022年のEPと1997年のアルバムを分ける
Sonyは25周年企画で、当時のエディットやインストを含むデジタルEPを案内した。別に速度を落とした加工版もある。タイトルが同じでも同一の版とは限らないため、本項のアルバム音源と再発EPを混同しない。
制作背景
サンプル元
公式音源の作品情報・日本の配信対象・埋め込み許可をメタデータで照合。日本国内からの実再生と埋め込み再生は未確認です。
ここで扱うRZAの発言は編曲と音の出入りについての説明です。サンプリングされた原盤の特定や、使用素材の完全な一覧とはしていません。
出典
LOUD / RCA — Triumph official album delivery
Fresh Air — RZA interview, 2005
AllHipHop — Rewind the Rhyme: GZA, 2006
Get On Down — Wu-Tang Forever 4LP
Sony Music Canada — Wu-Tang Forever 25th anniversary
Certified — The Making of Triumph, Episode 1: RZA
Apple Music — Triumph on Wu-Tang Forever
VladTV — Inspectah Deck: Using the Triumph Verse Twice Helped My Legacy (2015)
Red Bull Music Academy — Wu-Tang Clan lecture
XXL — Wu-Tang Clan Members Revisit Enter The Wu-Tang: 36 Chambers (2013)
AllHipHop — Masta Killa Talks Making Enter The Wu-Tang (2015)