Criminal

2008
地域 / シーン:Philadelphia
The Roots feat. Truck North & Saigon
Marisa Brownの批評は「Criminal」の言葉を、一人の現在だけでなく歴史へ結びつける。
今いる場所を、積み重なった過去から読む。
2008年の『Rising Down』に収められた「Criminal」。The RootsのBlack ThoughtにTruck NorthとSaigonが加わり、複数の視点を一曲のなかで受け渡す。客演の名前を並べるだけでなく、誰の声へ切り替わったかを意識すると、曲の構成が立体的になる。
制作を担うのはThe RootsとKhari Mateen。公式クレジットでMateenは録音エンジニアにも名を連ねる。バンドの演奏とスタジオの作業をつなぐ人物へ目を向けると、この曲はMC陣だけでなく、音をまとめる側の共同制作としても見えてくる。
歌声の層もラップ陣だけではない。公式クレジットにはKevin HansonとMercedes Martinezが載る。2008年4月のDavid Hylandによる同時代評は、Hansonのコーラスと三人のMCの対比を、この曲の特徴として取り上げていた。声を積み重ねることが、語りの緊張を別の角度から支えている。
まずコーラスとヴァースの境目を追い、次に同じ伴奏の上で各MCがどれだけ違う密度を作るかを比べてみたい。ひとりの声を追い続ける聴き方から、声と声の受け渡しを追う聴き方へ。その切り替えによって、一曲のなかの距離や視点が変わってくる。
Marisa BrownのTiVo評は、「Criminal」でBlack Thoughtが語る現在を、その人物だけの目先の状況としては読まない。過去から続く闘いや、生き延びようとしてきた経験を背負う言葉として捉えている。これは評者の解釈であり、作者本人による制作意図の説明ではない。コーラスとMCたちの受け渡しに加え、語り手の現在の背後にどんな時間があるのか、という問いを持って聴くこともできる。
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歌手とMCの距離を読む
David Hylandの2008年評は、「Criminal」のKevin Hansonの歌をカントリーに近い感触として受け取り、その直後に前へ出るMC陣との落差に注目している。柔らかな歌声が入るからといって、評者は曲を穏やかなものとして捉えていない。 これは当時の批評家の聴き方だが、コーラスを単なる休憩として流さないための手がかりになる。歌の時間とラップの時間で、語り手との距離はどう変わるのか。声質の違いを構成の一部として聴き直してみたい。
制作、録音、ミックスの別々の仕事
Qobuzの曲別クレジットでは、Khari Mateenは制作と録音を兼ね、Jason Goldsteinには録音とミックス、Jon Smeltzには録音の役割が付く。演奏者の名が目立つバンドの作品にも、その音を記録し、配置する人々の層がある。 この一覧は機材や録音順までは説明しない。それでも、MCが前へ出る瞬間や、コーラスと伴奏の距離を意識すると、曲の印象が演奏だけで完成するわけではないと気づく。プロデューサー欄の先まで読むための入口だ。
制作背景
制作はThe RootsとKhari Mateen
Universalの公式音源は両者をProducerと記載。Khari MateenにはRecording Engineerの役割もある。
客演表記の先にいる声
公式クレジットにはBlack Thought、Truck North、Saigonに加え、Kevin Hanson、Mercedes MartinezがVocalistとして記載される。
2008年の受け止め方
David Hylandの発売期レビューは、HansonのコーラスとMC陣の対照を曲の特徴として論じた。
サンプル元
公式音源の公開情報で曲名と投稿者を確認しています。サイト内での実再生は未確認です。
個別確認中。未掲載はサンプル不使用を意味しない。
出典
Universal公式配信 — Criminal / 演者・制作クレジット
Apple Music — Criminal feat. Truck North & Saigon