Yeah You Get Props

1994
地域 / シーン:Queens / Beatnuts
Matt Jostが見つけた、アルバム前半と後半をつなぐ関係。
「Props」が、別の歌詞でもう一度。
RapReviewsのMatt Jostは、「Props Over Here」が別の歌詞と目立つベースラインを伴って「Yeah You Get Props」に再登場する、と評している。二曲を同一録音とする話ではなく、同じアルバム内でのつながりを指摘した批評だ。似た題名を混同しないだけでなく、前半の曲を思い出しながら後半へ進む聴き方が、この文章から見えてくる。
似た題名が並ぶと、曲まで同じだと思ってしまいそうになる。「Yeah You Get Props」は「Props Over Here」とは別の録音で、『Street Level』の後半に置かれている。まずその距離を保って聴きたい。名高いシングルの陰に畳んでしまわなければ、この曲が三人の声をどう前へ押し出すかに集中できる。
曲別の正規配信クレジットでは、制作はThe Beatnuts、作詞作曲にはJerry Tineo、Lester Fernandez、Bertony Smallsが並ぶ。制作の看板とマイクの役割が重なる時代の曲だ。低音だけを追う一周と、語尾や掛け声の受け渡しを追う一周を分けてみると、同じ伴奏の中でも声が場面を変える様子を捉えやすい。
ここでは通常のアルバム曲を入口にし、別表記のRough MixやRadio Editを混ぜない。同じ曲名でも、編集やミックスが変われば聴く場所が変わる。三分余りの曲を、制作の精密さとラップの荒々しさがぶつかる場所として味わいたい。整った演奏へ磨き上げるのとは違う、輪郭の尖りを残す魅力がある。
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一枚のアルバムに、異なる記憶が残る
Fashionは『Street Level』の録音を緊張の多い経験として語る。一方、Psycho Lesは同じ制作期を、スタジオで楽しみながら音楽を作った時期として振り返る。二つの本人の語りを並べると、レコードの明るさや荒さから人間関係を一つに決めつけられないことが分かる。 「Yeah You Get Props」の声の応酬も、舞台裏の感情を断定するためではなく、複数の個性が同じ拍にどう居場所を作るかを聴く入口にしたい。音としてまとまることと、全員の記憶が一致することは別なのだ。
ノイズを消さない、という選択
Psycho Lesは、レコードの静電ノイズを隠さないようエンジニアに伝えると話している。これは特定の一曲の処理方法を説明する証言ではないが、Beatnutsが「汚れ」を欠点とだけ見ていないことを示す。 その美学を手がかりに本曲へ戻り、音の滑らかさだけでは測れない存在感を考えたい。低音、ドラム、声の境界を一度に追わず、背景の肌触りに耳を移す。高級な音に整える以外にも、レコードの個性を保つ道がある。
制作背景
1994年のアルバム曲
『Street Level』11曲目の3分29秒の曲として掲載。
制作とミックス
制作はThe Beatnuts。Kirk YanoとAndy Blakelockがミックスに記載される。
サンプル元
配信元の公開情報では日本を配信対象に含む公式音源です。サイト内での実再生は未確認です。
出典
Columbia/Legacy — 「Yeah You Get Props」公式配信