Runnin’

1995
地域 / シーン:South Central Los Angeles / Alternative Hip Hop
Slimkid3が守ろうとしたのは、サンプルだけでなくドラムの組み方だった。
「Runnin’」で残された、Jay Deeのドラム
「Runnin’」のビートは、そのまま完成形へ進んだわけではない。Slimkid3は2006年の取材で、FatlipがJay Deeのドラムを組み直そうとした際、元の形を残すために衝突したと明かしている。自分たちが迎えたプロデューサーの仕事を、そのまま生かしたかったのだ。
2016年のSkiddleの取材でも、Slimkid3はこの出来事を振り返った。彼にとってドラムのずれ方は、直すべき箇所ではなくJay Deeらしさだったという。決められた形にそろえるより、作った人の癖を残す。その判断が、この曲の制作では争点になった。
出会いをつないだのはQ-Tipだった。The Urban Dailyの取材によれば、Slimkid3たちはQ-Tipの部屋でカセットを聴き、その中に後の「Runnin’」や「Drop」のループがあった。Jay Deeという名前をQ-Tipの別名だと思っていた、という当時の勘違いも本人は話している。
「Runnin’」は1995年の『Labcabincalifornia』からの最初のシングルになった。素材として知られるのはStan Getzの「Saudade Vem Correndo」だが、聴き直すならサンプルの旋律だけでなく、ドラムとの組み合わせにも注目したい。どの音を借りたかに加え、どんなリズムを残そうとしたかを知ると、この曲への入口がもう一つ増える。
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12インチには別ミックスもある
Delicious Vinylの2012年再発告知には、Jay Dee Extended MixとSmooth Extended Mixが別々に記載されている。アルバム版についての話を読むときは、同じ曲名の別ミックスと混同しないよう、盤の表記も見ておきたい。
制作背景
1995年のセカンド・アルバムから
Delicious Vinylは「Runnin’」を『Labcabincalifornia』の最初のシングルと紹介。ここでは公式アーティストチャンネルの2025年リマスター音源を掲載し、初出年は1995年として扱う。
LAのグループと、Jay Deeのビート
レーベルはグループをSouth Central Los Angelesの4人組と紹介。Jay DeeことJ Dillaが手がけた「Runnin’」についても公式に記録している。
ブラジル音楽から来たループ
Stan GetzとLuiz Bonfáの「Saudade Vem Correndo」を使用。サンプル関係はFlower Recordsの公式解説で照合。元音源は『Jazz Samba Encore!』のUMG正規配信で、1963年の原盤表記を確認した。
サンプル元
Stan Getz & Luiz Bonfá / Maria Toledo — Saudade Vem Correndo
「Saudade Vem Correndo」を使用。素材の楽器や位置は断定せず、原曲との比較へ案内する。
サンプル元のYouTube出典
Delicious Vinyl — Runnin’のシングル紹介
YouTube — PHARCYDE TV / Remastered 2025
Delicious Vinyl — The Pharcyde紹介
Delicious Vinyl — Illa J / Jay Deeの制作歴
Flower Records — Saudade Vem Correndoのサンプル関係
YouTube — Stan Getz / Jazz Samba Encore!
SPIN — An Oral History of The Pharcyde’s Passin’ Me By
Craft Recordings — Bizarre Ride II The Pharcyde
Yo! Raps — Bootie Brown: Pioneering A New Wave
The Urban Daily — The Pharcyde Recall Their Bizarre Ride 20 Years Later
Stones Throw — The story behind some of J Dilla’s greatest productions
Skiddle — Bizarre Ride Live interview: Jay Dee also wrote that history