Contract On The World Love Jam

1990
地域 / シーン:Long Island / WBAU / The Bomb Squad
Chuck Dが語る、コラージュの後にある整理の仕事。
断片を足すだけでなく、ミックスで削る。
『Fear of a Black Planet』の入口で、Public Enemyは声の断片を組み立てる。「Contract On The World Love Jam」の作り方を尋ねられたChuck Dは、ラジオからインタビューや広告をカセットへ録音し、その断片をどう並べれば曲になるか考えたと説明している。 既成の歌を引用するだけでなく、日常の放送そのものを作詞の材料として扱う発想だ。
同じ証言では、こうした導入を長くしすぎず、次の動きのある曲へ勢いよくつなぐ必要も語られる。 Smithsonian所蔵の2014年再発LPでも、A面は本曲から「Brothers Gonna Work It Out」へ進む。 約1分44秒という短さを、内容の少なさと取り違えないようにしたい。アルバムの順番まで含めて聴くための入口であり、声をどう配置するかという制作の判断が前面に出た一曲だ。
「Contract」の成立を説明した取材で、Chuck DはPublic Enemyの制作を、ループを重ねたあと、ミックスで要素を取り除く作業とも説明する。録音した放送を並べる発想と、積み重なった音を引き算する判断は別の段階にある。これは制作全般の証言であり、本曲に使った素材数や全機材を確定するものではない。
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制作の分業を読む
Chuck DはMark Deryの取材で、Eric Sadler、Hank Shocklee、Keith Shockleeと音の断片からグルーヴを組む日常を語る。SP-12やS900を使い、Macintoshでの加工とシーケンスはEricとKeithの領分だったという。曲の発想を語る人と、音を整える人の役割を並べると、The Bomb Squadという制作名義の中身が見えてくる。
参考資料:Public Enemy Confrontation, Mark Dery interview reprinted in That’s the Joint!, p.414
音の導入と、視覚の宣言
2014年再発盤を収蔵するSmithsonianの記録は、惑星を描いたジャケットだけでなく、内袋の宣言や影響を受けた人物の一覧にも触れている。声を組み合わせる導入曲から、言葉と図像を重ねたパッケージへ視線を移すと、アルバムがどんな立場を示そうとしたかを別の角度から辿れる。
Instrumentalの中に残る声
公式配信では題名に「Instrumental」が添えられ、制作はThe Bomb Squad、作曲にはKeith Shocklee、Eric Sadler、Carlton Ridenhourが記される。一方、Chuck Dの説明ではインタビューや広告の声がこの曲の材料になっている。ラップのヴァースだけを声の役割と考えず、切り取られた発話が曲をどう形作るかに耳を向けたい。
参考資料:Public Enemy / UMG official YouTube metadata / Public Enemy Confrontation, Mark Dery interview reprinted in That’s the Joint!, p.414
制作背景
サンプル元
掲載音源のメタデータを照合。実再生は未確認です。
個々のサンプル音源の出典は未確認です。素材が使われていないという意味ではありません。
出典
YouTube:公式配信 — Contract On The World Love Jam (Instrumental)
Public Enemy Confrontation, Mark Dery interview reprinted in That’s the Joint!, p.414
Smithsonian — Fear of a Black Planet(2014年再発盤)