My Way

2002
地域 / シーン:New York
Doo Wopの回想から、アルバム以前に「My Way」がDJへ渡った道筋をたどる。
「Project Windows」と一緒に届いた、三つのヴァース
「My Way」は、2002年の『The Lost Tapes』に収録されたNasとThe Alchemistの曲。公式クレジットにはNasir JonesとAlan Maman、録音とミックスにはKevin Crouseの名が載る。発表年だけを見れば2002年の作品だが、その前に曲が存在し、別の経路で人に届いていたことが当事者の証言からわかる。
LEVELの口述史でNasは、1999年の自分の誕生日に、以前から考えていたことをフリースタイルにしたと説明している。Doo Wopも同年に曲を受け取り、その時点ではフックがなく三つのヴァースだったと回想した。完成盤の発売と曲が生まれた瞬間の間には、数年の隔たりがある。
この隔たりを単なる発売の遅れとして片づけずに聴きたい。『The Lost Tapes』は、アルバムから外れた録音を一つの順番へ置き直す作品だった。「My Way」は過去の断片でありながら、新しい並びの中では改めて一曲になる。録音の年代と、聴き手へ差し出された作品の年代が重なる場所に、その独特の立ち位置がある。
Doo Wopの回想をもう一歩たどると、「My Way」は単独で届いたのではなかった。1999年に受け取った同じCDかテープに、「Project Windows」のラフ版も入っていたという。媒体がCDだったかテープだったかは、本人の話でも確定していない。後に別々のアルバムで聴かれる曲が、その時点では一緒にDJの手元へ届いていた。完成したディスコグラフィーとは違う曲同士の隣り合わせが、発表前の流通に残っている。
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倉庫ではなく、個人的な隠し箱
『The Lost Tapes』のアートディレクターJulian Alexanderは、表紙を巨大な金庫ではなく、大切な物をしまった小さな箱として考えたと語る。写真はQueensbridge Park近くで箱を土に置いて撮影したという。 この発想は「失われた音源」という言葉の大げささを、個人の持ち物の感覚へ引き戻す。聴き手が手にするのは、歴史的資料という看板だけではない。誰かが脇へ置いていたものを開き直す行為として、曲と表紙がつながる。
慣れた道具で、毎回違うレコードに会う
2004年のRapReviewsでAlchemistは、ASR-10を使い続ける理由を、操作より創造へ集中できるからだと説明した。さらに、レコードからは毎回違う素材が出てくるため、同じ切り方の考え方でも異なる感情を作れると語っている。 この取材だけで「My Way」の機材構成を断定することはできない。ただ、同じ道具を使うことと、同じ音楽を作ることは別だという制作観は読み取れる。本曲のクレジットからプロデューサーを辿ると、機材の新しさとは違う更新の仕方が見えてくる。
制作背景
録音・ミックス
Kevin Crouseが録音とミックスの両方を担当。
配信上の日付の差
YouTubeの公式音源は2002年9月24日、参照したApple Musicの作品ページは9月23日を表示するため、発表年は2002年として扱う。
サンプル元
配信元の公開情報では日本を配信対象に含む公式音源です。サイト内での実再生は未確認です。
サンプル元は未確認。未掲載はサンプル不使用を意味しない。