Ain't Bragging (feat. Guilty Simpson)

2010
地域 / シーン:Oxnard / Detroit
MEDとGuilty Simpson、制作はWaajeed。2010年の先行公開曲には、MEDが自分で音楽を送り出すために育てた道がつながっている。
待ち時間を、自分の出口に変える。
「Ain’t Bragging」は、MEDがGuilty Simpsonを迎えた曲で、プロデューサーはWaajeed。2011年の『Bang Ya Head 3』で知られるが、2010年11月にはVTechでの先行配信が紹介されていた。ここでは曲の年を2010年とする。アルバムにまとまる前にも、一曲が人の手へ渡っていく時間がある。
Bang Ya Headという名前は、単なるミックスの見出しではなかった。2015年の取材でMEDは、最初のアルバム以前、2005年に録りためた曲を集めてミックステープを作り、Fat Beatsを通じて出したと振り返る。次のアルバムを待つ間にも、このシリーズで音楽を発表し続けたという。待つことと、止まることは同じではない。
第三集でコンピレーションを本格的に出そうと決め、それまでの販売実績が流通の契約へつながった、とMEDは説明する。「Ain’t Bragging」の周囲には、Georgia Anne Muldrow、Exile、J Rocc、Oddiseeらの制作曲も並ぶ。一人のプロデューサーに作品の表情を預けるのではなく、異なる人との仕事を、自分の看板の下へ集めていた。
その中でWaajeedとGuilty Simpsonを迎えたこの曲は、OxnardのMEDとDetroitの作り手をつなぐ入口になる。Madlibとの関係だけでMEDの道筋を説明してしまうと、こうした枝分かれを見落とす。自分の音楽を出す場所を持つことは、誰と何を作るかを自分で選び続けることでもある。シリーズの歩みからは、そんな実務の強さが見えてくる。
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Waajeedの制作を後押しした、留守番電話
2005年のRed Bull Music Academyで、Waajeedは制作に本腰を入れたきっかけを語っている。J Dillaの地下室にあったビートマシンから詰まったディスクを取り出し、週末に持ち帰って四つのトラックを作った。試作を留守番電話へ流すと、Dillaからすぐに電話が戻り、もう一度聴かせてくれと言われたという。その励ましを受け、Waajeedは一年間、自宅でレコードを刻み続けたと振り返る。Detroitという地名の内側には、機材を貸し、未完成の音に耳を貸す関係があった。ただし、これは彼の出発点の話。「Ain’t Bragging」の使用機材や制作年を、この逸話から決めることはできない。
参考資料:Red Bull Music Academy — Waajeed本人のSeattle 2005講演・全文書き起こし
主役と客演を入れ替える、二人の往復
Guilty Simpsonのデビュー作『Ode to the Ghetto』には「The Future feat. MED」がある。ここではGuiltyの作品にMEDが加わり、「Ain’t Bragging」ではMEDの作品にGuiltyが加わる。クレジットを逆向きにたどると、一度きりの顔合わせではないことが分かる。さらに2008年の取材でGuiltyは、カリフォルニアでデビュー作を仕上げることが、邪魔されず制作に集中するうえで重要だったと説明し、同地を第二の故郷と呼んだ。OxnardとDetroitの線は、地図上で遠い二点を結んだだけではない。行き来して仕事をする土地と、互いの作品に呼び合う関係が重なっている。「Ain’t Bragging」の具体的な録音場所まで、この証言で断定はしない。
参考資料:Stones Throw — Guilty Simpson, Ode to the Ghetto / The Future feat. MED / Stones Throw — The Verdict / Guilty Simpson本人インタビュー(2008-02-15) / Stones Throw — MED Bang Ya Head 3 Special Edition(2011-04-21)
制作背景
Guilty SimpsonをStones Throwへつないだ人物
公式バイオによると、Guilty Simpsonは2001年にJ Dillaとつながり、Jaylibの『Champion Sound』収録「Strapped」に参加した。さらにDillaの推薦を受け、2006年にStones Throwと契約している。この客演の背景にも、レーベルの枠を越えて続いた人の紹介がある。
2010年の無料ミックスと、2011年のCDは別に読む
2010年10月に紹介された『Bang Ya Head III』はDJ Romesがミックスを担当した先行企画。2011年のSpecial Editionには別の曲順があり、「Ain’t Bragging」は2曲目に載る。同じ第三集という名前でも、配信企画と後の正式コンピレーションの収録内容を混同しない。
掲載音源の版と確認範囲
曲は2010年11月までに先行配信され、掲載音源は2011年『Bang Ya Head 3』のコンピレーション版です。曲の初出年と選択した配信版の年を分けています。2010年の先行配信ファイルと完全に同じマスターかは未検証です。 2026年10月21日に配信メタデータで日本が対象地域に含まれることと埋め込み許可を確認しました。日本国内からの実再生・音声の同一性は未確認です。
サンプル元
当事者の証言と作品資料に基づく記事。配信地域・埋め込み許可は2026年10月21日のメタデータで確認し、実再生とは区別しています。
未調査。サンプルや演奏楽器を推定していない。
出典
MED - Topic — Ain’t Bragging / Soulspazm配信情報
Stones Throw — MED Bang Ya Head 3 Special Edition(2011-04-21)
Stereotree — News: Modestie(2010-11-29、VTech先行配信を紹介)
Brooklyn Radio / Lara Gamble — Axel F Wordsmith MED(2015-01-26)
Stones Throw — Guilty Simpson公式バイオグラフィー
Hypebeast — MED Bang Ya Head III Mixtape(2010年10月)
Red Bull Music Academy — Waajeed本人のSeattle 2005講演・全文書き起こし
Stones Throw — Guilty Simpson, Ode to the Ghetto / The Future feat. MED
Stones Throw — The Verdict / Guilty Simpson本人インタビュー(2008-02-15)