Yes You May (Funk Flow Mix)

1992
地域 / シーン:New York
FinesseがT-Rayから引き出した、「Yes You May」リミックスの舞台。
Biz Markieのためのビートを、Big Lの登場へ。
「Yes You May」は、同じ曲名のまま参加者が入れ替わるところが重要だ。『Return of the Funky Man』の原曲に参加したA.G.とPercee Pではなく、このFunk Flow MixではBig LがFinesseとマイクを分け合う。1992年の「Party Over Here」12インチのB面で、リミックスは曲を延命する手段にとどまらず、新たな才能を紹介する場になった。アルバム本編から一歩外へ出た場所に、別の歴史の始まりがある。
FinesseはAllHipHopの取材で、Percee Pを介してT-Rayに会い、このビートがもともとBiz Markieのためのものだったと語る。それを譲ってもらい、当時まだ無名だったBig Lを乗せたという。本人が制作年を1992年とするこの回想からは、リミックスを既存曲の飾り直しではなく、新しいMCを紹介する場所として読む入口が生まれる。ビートの当初の相手と、完成版で声を聞かせる相手。その交代を意識して、原曲とFunk Flow Mixを並べたい。
Big Lの登場を単なるゲスト欄の追加で終わらせず、先輩の楽曲を借りた自己紹介として捉えたい。注目点は、一つの長い物語よりも、短い比喩や攻撃的な言い回しを次々と着地させるラップの組み立て。Finesseへマイクが移ったときにも、声の違いだけでなく、言葉を押し出す位置や余白の取り方を比較できる。二人のMCが同じビートの上でどんな輪郭を描くのか。その対照こそが、聴き比べの中心になる。
サンプル資料を入口にすると、Albert Kingのライヴ録音、Little Richard、Gwen McCraeという組み合わせへ辿り着く。とりわけ低音とドラムを別々の演奏へ遡ってみると、出来上がったビートを一つのループとして扱うだけでは見えない組み立てが浮かぶ。ブルース、ロックンロール、ファンクが、二人のMCのための足場へ姿を変える。原曲とこのリミックスを続けて選盤するなら、歌詞の登場人物の交代と、伴奏の出自の両方を楽しみたい。
リスニングノート · サンプル資料 3 件
制作背景
B面に収録された別バージョン
1992年のGiant「Party Over Here」12インチに収録されたFunk Flow Mix。Big L参加版で、A.G.とPercee Pが参加するアルバム原曲とは演者・制作が異なる。
T-Rayのビートを選ぶ
Finesseは、Percee Pを介してT-Rayを知り、元来Biz Markie向けだったビートを得て1992年にBig Lを参加させたとインタビューで語っている。
サンプル元
Albert King — I’ll Play the Blues for You (Live)
WhoSampledがベース素材として登録。ライブ録音の同一性を確認できる音源は未掲載。
Little Richard — The Rill Thing
WhoSampledがドラム素材として登録。独立した音声比較は未実施。
Gwen McCrae — Funky Sensation
WhoSampledが声の素材として登録。独立した音声比較は未実施。
制作・作品情報は出典を照合。聴き方は資料に基づく編集上の提案です。音源の実再生・地域別の視聴可否は未検証。
資料で確認した関係だけを掲載。権利処理や音声波形の独立検証を意味しません。
出典
Lord Finesse & A.G.: Encore — AllHipHop interview
Party Over Here / Yes You May (Funk Flow Mix) — FATMAN RECORDS
Yes You May (Funk Flow Mix) — WhoSampled