Hungry

2002
地域 / シーン:Flushing, Queens
2003年のレビューが記録した簡素なプロモ盤から、正式発売前の一曲を辿る。
白い封筒のプロモ盤から、「Hungry」を辿る。
Large Professorの『The LP』から。1990年代に制作されたアルバムは当初予定どおりには発売されず、2002年の限定プロモ盤を経て、2009年に正式リリースへ至った。Hungryは2003年1月の同時代レビューにも収録曲として記録されており、2009年の新録曲ではない。
自らビートを制作し、ラップも担うLarge Professor。その音づくりについてAllMusicは、Hungryの霞がかったオルガン・ループをアルバムの聴きどころに挙げている。華美な装飾よりもループの表情とMCの言葉の組み合わせへ焦点を置く、彼のソロ表現を辿る入口になる。
2015年公開のNPRのインタビューでは、Ali Shaheed MuhammadがHungryの冒頭の言葉を取り上げた。Large Professorは機知に富んだ言い回しを、育ったFlushingの会話の感覚に結びつけて説明している。技巧を単なる速さではなく、日常の言葉の選び方から聴くための手がかりだ。
同じ対談で本人は、当時の成功や富を誇示する流行よりも、満足せず作り続ける姿勢を重視していたと振り返る。曲名を本人の生き方と短絡的に同一視するのではなく、その時代の価値観を背景として置くと、長く発売を待った作品の意味が見えてくる。
Steve “Flash” Juonの2003年1月のレビューは、『The LP』のプロモ盤を白い封筒入りで、ケースもライナーノーツもないものとして記録している。一部の通販では『1st Class』の購入に付いてきたという。その掲載曲目の6番が「Hungry」だ。豪華なパッケージではない盤の存在と、その収録曲が同時代の評に残っていた。この同時代の記録が、後年の正式発売だけでは見えにくい作品の歩みを具体的にする。
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白い封筒の中にあった曲
2003年1月14日のRapReviewsは、当時入手した『The LP』を、ケースも解説もなく、白い封筒に入ったプロモCDとして記録している。『1st Class』を注文すると一部のオンライン店で付いてきたという盤で、転記された曲順には「Hungry」が6曲目に載る。後年の正式盤から遡って想像するのではなく、発売を待つ録音がどんな物として聴き手へ渡っていたかを示す同時代の記録である。
満ち足りることへの、本人なりの抵抗
2015年公開のNPRの対談で、Large Professorは『The LP』の時期を振り返り、成功や所有物を誇るラップとは距離を置き、創作への渇望を失いたくなかったと語った。Geffenから契約終了を告げられたこと、その後も作品を求める声があったことも本人の言葉で説明される。曲名「Hungry」を単なる強がりと読むより、この時期の価値観を重ねる余地がある。ただし、それは対談を踏まえた解釈であり、曲の全行を説明する公式解説ではない。
制作背景
制作・流通・正式発売の三段階
1990年代の録音、2002年の限定プロモ盤、2009年の正式盤という、制作と流通の異なる段階を持つ。
本人が語る言葉の背景
NPRの対談ではHungry冒頭の表現を話題に、Flushingで育まれた機知ある会話の感覚を本人が語っている。
サンプル元
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