The Victory

2007
地域 / シーン:Bronx / Queensbridge
KRS-One & Marley Marl feat. Blaq Poet
KRS-Oneが語る、Marley Marlとの共同盤が動き出した瞬間。
一曲を選ぶはずが、九曲すべて録った。
KRS-Oneは2007年のUnkut取材で、Marleyから九つのトラックを受け取り、一つ選ぶよう言われたのに、全部に録音して返したと話している。その後House of Hitsで作業し、約四日で三、四十曲を録ったという。これは「The Victory」単独の録音日数ではなく、収録アルバム全体の制作回想だ。かつての対立だけでなく、ビートに応える速さにも、この組み合わせを知る手がかりがある。
KRS-OneとMarley Marlの2007年作『Hip Hop Lives』。「The Victory」にはBlaq Poetも加わる。かつて別の側に立っていた人々が同じレコードへ名前を並べる。その事実だけでも、この曲にはヒップホップの歴史を読み直す入口がある。
ただし、発売年になって突然仲直りしたという単純な話にはしない。2007年のUnkutによる直接取材でKRSは、Marleyとは以前から友人だったと語り、過去の対立だけで二人を捉える見方を正そうとしている。共同アルバムは関係の誕生というより、本人たちの実像を音で示す機会でもあった。
同じインタビューでKRSは、Marleyから送られた9曲をすべて録音し、その後House of Hitsでアルバム制作を進めたと回想する。一曲を選ぶはずが、九曲全部を返す。二人の共同作業を動かしたのは、過去の物語だけではなく、届いたビートへすぐに応じるMCの意欲だった。
「The Victory」ではDJ Premierのスクラッチにも耳を向けたい。Marleyのプロダクション、KRSとBlaq Poetのラップ、Premierのカット。異なる役割が一曲に集まると、かつて別々に語られた名前が、同じ時間を共有し始める。
深掘り記事あり · サンプル資料 0 件
PremierからMarleyへ動いた企画
KRS-Oneの2007年Unkut取材によれば、『Criminal Minded』20周年にあたる企画では、当初DJ Premierをプロデューサーにする案があった。打ち合わせでKoch側からMarley Marlの名が出たことが、共同アルバムへ進む転機になったという。 「The Victory」でPremierがスクラッチを担当していることを、この経緯と並べると面白い。企画の中心が変わっても、別の役割で名前が同じレコードに残る。対立の解消という物語だけでは見えない、人と役割の組み替えがある。
バトルのレコードと、本人たちの生活
KRSは同じ取材で、Marleyと音楽の外でも親しくしていたのに、ステージでは長年「The Bridge Is Over」を歌い続けていたと振り返る。曲が伝える対立の像と、当人同士の関係には時間差があった。 『Hip Hop Lives』を単純な仲直りの記念盤としてだけ聴かないための証言だ。過去の曲はその時代の熱を保存するが、人間関係はその後も変わる。Blaq Poetを迎えた「The Victory」から、その先の時間へ耳を伸ばしてみたい。
制作背景
2007年5月22日、Kochから
Amoebaの原盤資料は発売日、レーベル、Blaq Poet参加と約3分48秒の曲目情報を掲載。
敵から突然友人、ではない
Unkutの2007年直接取材でKRSは、Marleyと以前から親しかったと説明している。対立の年表だけでなく、その後の本人の証言も読む。
制作とスクラッチを分ける
AmoebaはMarley MarlをProducer、DJ PremierをScratchesと記載。2007年のSagihiphop評もThe VictoryでのPremierのスクラッチに言及。
サンプル元
公式音源の公開情報で曲名と投稿者を確認しています。サイト内での実再生は未確認です。
個別確認中。未掲載はサンプル不使用を意味しない。
出典
Amoeba — Hip Hop Lives / 原盤情報と制作クレジット
Unkut — KRS-One直接インタビュー(2007年6月14日)