Stop Smokin' That Shit (Vocal)

1999
地域 / シーン:New York
1999年のFondle ’Em盤と、KMDを支えたラジオ/仲間のつながりからたどるVocal版。
しまわれたアルバムから、街へ戻った一曲
1999年12月、Oliver WangはFondle ’Emの12インチを、Subroc「Sounded Like a Roc」とKMD「Stop Smokin’ That Shit」のカップリングとして評している。B面を初めて聴いたと記したその反応には、後世の名盤紹介にはない時間差がある。録音が出来上がったときと、リスナーが新しい曲として受け取るときは同じではない。このシングルは、その隔たりを埋めた一枚だった。
KMDの二作目『Black Bastards』は1994年に予定されながら発売されず、Subrocを失ったZev Love Xが、その音楽を後へ運ぶことになった。現在の公式デラックス版は本編だけでなく、ラフ音源や別ヴァージョン、インストも併せて残している。「Stop Smokin’ That Shit (Vocal)」はそこに4分46秒で置かれ、本編の「Smokin’ That S*@%!」とは別の曲目を持つ。完成したアルバムだけを遡っても見えない、シングルとしての来歴が残る場所だ。
この曲の周囲には、KMDの外にもつながる人の輪がある。Brian Colemanの聞き取りでは、Bobbito Garciaが「Smokin’ That Shit」を自分たちのラジオ番組でかけた理由として、参加していたKuriousとLord Searとの交友を挙げている。曲はまず顔の見える関係の中を動き、その後、同じBobbitoのFondle ’EmからKMDの録音が届く。MF DOOMの前史というだけでなく、仲間が録音を聴かれ続けるものにした物語でもある。
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KuriousからBobbitoへ、KMDとDOOMを結ぶ人脈
Colemanによる『Black Bastards』の聞き取りは、「Smokin’ That Shit」の参加者としてKurious、Earthquake、Lord Searを挙げる。Bobbitoは、KuriousとSearが親しい仲間だったためWKCRの「The Stretch & Bobbito Show」で曲をかけていたと説明する。これは後年の再評価の言葉ではなく、誰が誰の音楽を電波に乗せたかという具体的な関係の証言だ。 Stones Throwが掲載したMF DOOMの取材記事でも、KuriousがDOOMとBobbitoを結びつけた経緯が語られる。Fondle ’Emは1997年に「Dead Bent」を出し、1999年にはKMDの旧録音もシングルとして届いていた。新しい仮面の名義と、かつてのグループの名前。その二つを分断せずつないだものの一つが、共演とラジオから育った同じ人脈だった。
兄弟の制作を、DOOM一人の前史に縮めない
『Black Bastards』のエンジニアRich KellerはColemanの取材に対し、二人がサンプラーに音楽を入れて持ち込み、自分は技術面や部分的な演奏を助けたが、アイデアはDOOMとSubrocのものだったと回想している。Pete Niceも、二作目ではSubrocがラップと制作の両方で前へ出てきたと説明する。後年の知名度から、KMDを若いDOOMのソロ作品のように読むのは、この共同性を取り落とす。 1999年のシングルで片面がSubroc名義になっていることも、その存在を意識する入口になる。一方、公式デラックス版にあるVocalとInstrumentalは、兄弟が作った音楽を声のある形とない形からたどれる配置だ。個々の担当を未確認のまま割り振るより、Subrocの独立した仕事とKMDとしての仕事が同じ盤に隣り合っている、その並び自体を大切にしたい。
制作背景
1999年のカップリング盤
Oliver Wangの1999年12月のレコード評は、Fondle ’Em盤をSubroc「Sounded Like a Roc」/KMD「Stop Smokin’ That Shit」の組み合わせとして紹介している。
デラックス版に残る三つの曲目
公式デラックス版には「Smokin’ That S*@%!」4分40秒、「Stop Smokin’ That Shit (Vocal)」4分46秒、「Stop Smokin’ That Shit (Instrumental)」4分37秒が別々に収録されている。
サンプル元
公式音源の公開情報で曲名と投稿者を確認しています。サイト内での実再生は未確認です。
サンプル元は未確認。未掲載はサンプル不使用を意味しない。
出典
KMD / Metalface — 『Black Bastards』デラックス版