CRATEDIGGIN'CURATED BY DJ NAOYAMAN

Something

Something — Hassaan Mackey & Apollo Brown|CRATE DIGGIN|DJ Naoyaman
Original graffiti · Designed by DJ Naoyaman

2011

地域 / シーン:Mello Music Group

Hassaan Mackey & Apollo Brown

Patrick Taylorが「Something」に読み取った、友人と親族への思い。

都市の名前より、失った人の名前へ。

デトロイトのプロデューサーだから、デトロイトの音がする。そう考えると、Apollo Brownの輪郭を少し見誤る。2010年のMichiganHipHopの取材で、彼は自分の音を、土地特有のスウィングではなく東海岸寄りのブーンバップだと説明している。ニューヨーク州ロチェスターのMC、Hassaan Mackeyと組んだ『Daily Bread』も、二つの都市の名前より、二人の耳が向いた方角から捉えたい。

「Something」は2011年7月26日発表の『Daily Bread』三曲目。公式音源は三分九秒で、制作とアレンジをApollo、ヴォーカルをHassaanが担う。二曲目の「Volume」と四曲目の「Dollar Bill Hill」の間に置かれている。ミックスから出会った曲をアルバムへ戻してみると、この順番も、新たな聴きどころになる。

Apolloは2012年のGRINDINの取材で、相手にビートを渡して任せるのではなく、同じスタジオで構想を練り、アルバムの完成まで関わる姿勢を語っている。これは「Something」個別のセッション解説ではないが、単なるビート提供者と、作品全体を組み立てるプロデューサーを、彼がどう区別していたかを示している。

Hassaanの側から制作の距離が伝わるのは、2011年のMusic Is My Sanctuaryに掲載された「Volume」の回想だ。早朝に列車で到着し、Apolloの家で聴いた最初のビートから書き始め、その夜にスタジオで録音したという。あくまで隣の曲の話であり、「Something」も同じ日に生まれたとは言えない。それでも、共作を単なる音源ファイルの往復と考えないための、具体的な場面がここにはある。

同じGRINDINの取材でApolloが制作の軸に挙げるのは、簡潔さと一貫性だった。目新しい様式を発明するより、自分が育った音楽を受け継ぎ、自分の手つきを加える。『Daily Bread』を過去の再現と片づける前に、この意思を置いて聴きたい。二人の都市は違う。だが、馴染みのある形式を使って一枚を作ることは、その距離を隔たりのままにしない。

RapReviewsのPatrick Taylorは「Something」を、亡くなった友人や親族について語る曲と捉えている。これは批評家による内容の読み取りであり、Hassaanが制作意図を説明した証言ではない。東海岸とデトロイトという制作上の地図に加え、失った人を思う言葉という観点から一曲へ戻る手がかりになる。個々の人物や出来事の詳細は、この記事だけでは確定しない。

深掘り記事あり · サンプル資料 0 件

DIG DEEPER 01|新しい機材より、切り口の精度

2010年の取材でApolloは、ソフトウェアを使う理由を、音の切り方とアタックを細かく扱えること、画面で構造を見られることに結びつけている。機材の値段ではなく出来上がった音を重視するという姿勢だ。これを「Something」固有の機材リストと取り違えず、彼の制作観を知る入口にしたい。サンプルの原曲名や使用機種を無理に埋めなくても、どこに注意を向けていた作り手なのかは分かる。

参考資料:Apollo Brown Interview / MichiganHipHop /2010-08-31

DIG DEEPER 02|『Daily Bread』より前の接点を探す

二人の名前が並ぶ場所は、このアルバムだけではない。Mello Music Groupの公式『The Reset』ページには、2010年作の「Odds Ain't Fair」にHassaan Mackeyが参加したことが記されている。そこから『Daily Bread』へ進めば、客演という形で記録された接点が、アルバム一枚を担う共作へ広がったことを確認できる。ただし、このクレジットだけで初対面の時期や知り合った経緯まで断定することはできない。

参考資料:Apollo Brown - The Reset / Mello Music Group / Daily Bread / official album and credits

制作背景

原曲と受領ミックス

Daily Breadの第3曲。公式掲載は2011年7月26日、3分09秒。DJミックス内の抜粋時間とは別の情報です。

制作の担当

全曲の制作・アレンジはApollo Brown、作詞・ヴォーカルはHassaan Mackey。録音はTate McBroom、ミックスはMagnetic、マスタリングはEric Morgeson。

サンプル元

公式音源を探索し、公式BandcampとレーベルSoundCloudを出典に掲載。プレイヤーは一般ユーザー投稿(非公式)です。曲名・投稿者を照合していますが、日本国内からの実再生と埋め込み再生は未確認です。

この曲に使われたサンプル元の曲名・録音版は未確認です。制作方法のインタビューから個別素材を推定していません。

出典

Daily Bread / official album and credits

Something / official track

Apollo Brown Interview / MichiganHipHop /2010-08-31

Apollo Brown Interview / GRINDIN /2012-11-15

Future Classic: Apollo Brown & Hassan Mackey Daily Bread /2011-07-20

Hassaan Mackey & Apollo Brown - Something / Mello Music Group

Apollo Brown - The Reset / Mello Music Group

Nathan Weckesser — Hassaan Mackey & Apollo Brown - Something

RapReviews / Patrick Taylor — Daily Bread評

A NOTE FROM THE EDITOR

Old records.
New afternoons.

音楽は、発売された年に閉じ込めておくには、
少しばかりよくできすぎている。

好きな曲を掘る。元になった音をたどる。街や仲間の話に寄り道する。
そうして、いまの自分の耳を、もう一度確かめる。

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