Melt!

2008
地域 / シーン:Los Angeles
Flying Lotusが語るアルバム制作の順序から、短い「Melt!」の置き場所を考える。
並べてから、足りない場面を作っていく。
「Melt!」はFlying Lotusの2008年作『Los Angeles』の5曲目。約1分45秒という短さで、アルバムの場面をひとつ受け持つ。のちの『L.A. EP 2X3』にはMono/Polyのリミックスも収められ、短い原曲から別の制作者の世界へ進む道が生まれた。
アルバム発売時のPlug One取材で、Flying Lotusはこの作品を存在しないSF映画のサウンドトラックのように考えていたと話す。当初は暗い方向を想定していたが、街には明るさや美しさもある。場面の幅を広げながら、作品全体の感触を揃えていったという。
Plug Oneの取材で本人は、アルバムを組みながら曲を作り、並べ替え、足りない箇所に必要なものを作り足したと説明している。完成曲を集めるだけではなく、間を残すことも含めた組み立て方だ。これは『Los Angeles』全体についての証言で、「Melt!」単独の録音手順を明かすものではない。だからこそ、この短い曲も前後から切り離さず、アルバムの一場面として受け取ってみたい。
2008年のSPIN評はこの曲を、ドラムに鳥のさえずりやマラカスを思わせる音が重なる場面として描写した。これは評者の聴感であり、使用楽器の録音証明ではない。音の正体を急いで決めず、前後の「Camel」「Comet Course」と続けて、場面の移り変わりを楽しみたい。
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Dillaの影響から、自分の名前へ
2008年のPlug One取材でFlying Lotusは、J DillaやPrefuse 73との比較を当初は褒め言葉として受け取ったが、やがて自分の仕事までその比較で片づけられることに苛立ったと話している。 「Melt!」を短いビートという形式だけでDillaの系譜に収める前に、作者がどこから離れようとしていたかも考えたい。影響を知ることと、その音を既知の名前へ戻してしまうことは違う。『Los Angeles』を本人自身の転換点として聴くための証言だ。
ジャケットの外側にも作品がある
同じインタビューでFlying Lotusは、発売前に音源が流出し、リスナーがジャケットの表だけを見て作品を判断する状況に不満を述べている。彼が重視したのは、見開きのアートワークと音楽を合わせて体験することだった。 短い「Melt!」を単独でつかまえたら、その次は曲順と装丁を含むアルバムへ戻ってみる。一曲から入る自由と、全体をひとつの作品として渡したかった作者の希望。その両方を行き来できるのが、レコードを掘る楽しさでもある。
制作背景
原曲からMono/Polyへ
『Los Angeles』のオリジナルと、『L.A. EP 2X3』のMono/Polyリミックス。公式カタログには二つの形で曲名が残る。
日本でも2008年のWarp作品
Beatinkの日本盤資料にはBRC196Z、Warp盤にはWARPCD165とWARPLP165の番号が付く。
短いビートにも曲順の役割
2008年の直接取材でFlying Lotusは、アルバムの流れを組みながら、必要な場所に新たな曲を作っていったと語る。
サンプル元
公式音源の公開情報で曲名と投稿者を確認しています。サイト内での実再生は未確認です。
個別確認中。未掲載はサンプル不使用を意味しない。
出典
Flying Lotus公式Bandcamp — Melt! / Los Angeles
Beatink — Los Angeles / 日本盤・Warp曲目
Plug One — Flying Lotus直接取材(2008年6月10日)
SPIN — Los Angeles / Mosi Reeves(2008年6月15日)
Flying Lotus公式Bandcamp — Melt! / L.A. EP 2X3の別版