Bizm

1998
地域 / シーン:ブルックリン/Bushwick
Finstaが語る、Bundyとのデュオが固まった公演の出来事。
ターンテーブルの後ろから、もう一人のMCが現れた。
「Bizm」は、1998年の「Boogie Spirit」と組になった12インチの裏面にある。後年の配信で出会うと2020年の曲に見えるが、それは90s Tapesが散在していたシングルをまとめた年だ。一枚のアルバムだけでキャリアをたどれないFinsta Bundyを、盤の表と裏から読み直す入口になる。
この曲をDa Beatminerz周辺という大きな括りだけで済ませないことも大切だ。正規配信は制作をRichard Nurseと記し、現物盤の販売資料は「Boogie Spirit」をEvil Dee、「Bizm」をRich Blakと区別する。ここでは確実な公式表記を採用し、別名義の同一人物認定は保留する。隣り合う二曲にも、それぞれの作り手がいる。
Finstaは、自分たちはヒット曲を狙うことに気を取られず、その時に考えていたことを音楽にしたと話す。この発言は「Bizm」の個別制作談ではないが、彼らの姿勢を知る手がかりだ。大きな売上だけを基準にするのではなく、遠くの聴き手が探し続けたシングルとして、この曲の寿命を捉えたい。
FinstaはThe Findの取材で、North CarolinaのFayettevilleでの公演後に、Bundyと正式な組を作ることになったと回想している。用意していたのは、Bundyがターンテーブルの後ろから出てヴァースを披露する演出だった。実際に行うと自然に感じられたという。これは「Bizm」の録音談ではなく、後のシングルを二人で出す以前の話だ。DJとMCを固定した分業にせず、舞台で試した役割の変化がデュオの出発点になった。
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二秒のサンプラーから、スタジオへ
Finstaは自宅のYamahaで使えるサンプル時間が二秒しかなく、盤を45回転にして取り込んでいたと回想する。スタジオではAkaiの機材を使い、自宅で組んだビートを作り直したという。 これは「Bizm」に使われた機材を特定する証言ではない。むしろ、家で思いついた音をスタジオへどう持ち込むか、という初期の制作環境の話だ。完成品の粗さを単なる低予算の印と見る前に、限られた時間へ音を押し込む工夫にも耳を向けたい。
レコード店が、発売への入口になった
Big Willieとの出会いは、Finstaが働いていたBrooklynのJackpot Recordsだった。自分の盤を客に薦め、本人だと伝えたことから、後日レーベル側がBushwickへ来て発売の話になったと説明している。 作り手、売り手、買い手が同じ店内で出会う。独立系の流通は完成後に付け足される仕組みではなく、次の録音を生む人間関係でもあった。後年、単発の盤をアンソロジーに束ねた90s Tapesの仕事へつながる、別の時代の届け方である。
参考資料:Finsta本人インタビュー — The Find, 2013 / 90s Tapes — 101: The High
制作背景
サンプル元
配信元の公開情報では日本を配信対象に含む公式音源です。サイト内での実再生は未確認です。
出典
90’s Tapes / HHV — Bizm 正規音源・制作クレジット
Finsta本人インタビュー — The Find, 2013