Get Off the Bandwagon

1988
地域 / シーン:Long Island / EPMD
Erick Sermonが明かした、この曲を向けた相手。
「You’re A Customer」の続きとして。
Erick Sermonは2008年のAllHipHopの曲別取材で、「Get Off the Bandwagon」を自分たちにとっての「You’re A Customer」の第二部と説明し、地元で敵意を向ける人々への曲だったと振り返った。「便乗するな」という題名だけから態度を想像するよりも、書き手が示した相手と、先行曲との関係を手がかりにできる。
「Get Off the Bandwagon」は、EPMDの『Strictly Business』に収録された1988年の曲だ。後年のリミックスではなく、このアルバム曲を入口にする。言葉数や速さで圧倒する聴き方をいったん脇へ置き、低い重心の上で二人がどのくらい余裕を残すのかに耳を向けたい。
公式配信の制作名義はEPMD。Erick SermonとParrish Smithが作詞作曲に並ぶ。二人のどちらかを声、もう片方を音という固定した分業に分けるより、声と制作が同じ集団の中から出てくる曲として聴くと自然だ。短い受け答えや語尾の置き方は、伴奏の隙間を埋めるだけでなく、曲の歩幅を決めている。
「bandwagon」という言葉は、勢いのある側へ便乗する態度を思わせる。曲名を踏まえながら、誰かを急いで追いかけるのではない二人の構えを聴いてみたい。『Strictly Business』の他の曲と続けると、冷静さと威圧が両立することが分かる。大きく身振りをしないからこそ、繰り返されるビートがこちらへ重く届く。
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ファンク一色ではない、二人のレコード棚
Erick SermonはPOWの取材で、デビュー作を二人の音楽的な多様性を示す作品だったと振り返る。Parrishのロック寄りの感覚と、自分のファンキーでくつろいだ感覚が釣り合っていたという説明だ。 その話は本曲の個々のサンプルを特定するものではない。しかしEPMDを一種類の音楽の再生産と考えず、異なる趣味を一つの歩幅へまとめる集団として聴く助けになる。別の曲に移っても変わらない重心と、曲ごとに変わる表面の質感を比べたい。
文字だけでも、グループの姿勢は伝わる
EPMDのロゴを手がけたEric Hazeについて、Red Bull Music Academyは、Freshから依頼を受けた時点で本人たちに会わず、音楽も聴いていなかったと記している。太い文字のまとまりは、音とは別の経路でグループの輪郭を作った。 『Strictly Business』のジャケットに戻ると、暗いスタジオ写真に明るい文字が強く浮かぶ。曲の威圧感をそのまま絵で説明するのではなく、レコード棚でも識別できる看板を与える。音と文字が別々に作られながら、一つの名前を支える面白さがある。
制作背景
デビュー作の8曲目
1988年の『Strictly Business』収録。現行配信の発売日表示と初出年は分けて扱う。
EPMD名義の制作
UMGの曲別説明はProducerをEPMDと記載。
サンプル元
配信元の公開情報では日本を配信対象に含む公式音源です。サイト内での実再生は未確認です。
出典
UMG — 「Get Off the Bandwagon」公式配信
Apple Music — 『Strictly Business』作品情報
Red Bull Music Academy — Eric HazeとEPMDロゴの誕生
AllHipHop — Erick Sermon/Parrish Smithが語るStrictly Business(2008)