My Name Is

1999
地域 / シーン:US
Eminem本人の回想で辿る、Dreとの最初のセッション。
名乗りは、その場で出た。ヴァースは部屋へ持ち帰った。
「My Name Is」は、本名を説明する自己紹介ではなく、Slim Shadyという人物像を聴き手の前へ投げ出す曲だ。短い名乗りを繰り返すフックに対し、ヴァースでは学校、家族、著名人などを荒唐無稽な場面へ巻き込む。語り手をそのまま作者の履歴として読むより、誇張と悪趣味を引き受けるキャラクターとして捉えると、記憶しやすい入口と挑発的な内容の落差が見えてくる。
2024年のVevo Footnotesでの本人解説を文字にしたePro記事によると、「My Name Is」はDr. Dreとの最初のセッションで作った二曲目だった。Dreがかけたレコードの一節に名乗りのフックを乗せ、ヴァースはその夜ロサンゼルスの滞在先で書いたという。その場の反応と、一人で書く時間は別だった。二人が世に自己紹介する曲にふさわしいと考えたという回想を、曲の入口に置きたい。
素材はLabi Siffreの「I Got The...」。本人の説明ではDreとミュージシャンがその音楽を再演奏しており、単純に既存録音をループした、とだけ片づけない方が制作の実態に近い。公式クレジットでもSiffreはEminem、Andre R. Youngと並ぶ作家だ。元曲と続けて聴く際は、印象的なリフが保たれる部分と、ラップを前に出すために反復の土台へ変換された部分を分けて追いたい。
フックの名乗り、合いの手、ヴァースの長い文を別々の役割として追うと、親しみやすさと騒々しさが同居する構造が分かりやすい。Dr. Dreは制作だけでなく追加ボーカルにも名を連ね、曲中の声のやり取りに関与する。この一曲は2000年のGrammyでBest Rap Solo Performanceを受賞した。受賞歴だけでなく、簡単に覚えられる反復が異様な語り手をどこまで大きく見せるか、という技法にも耳を向けたい。
リスニングノート · サンプル資料 1 件
制作背景
制作と発売
1999年The Slim Shady LP収録。公式音源はDr. Dreを制作・ミックス、Eminem、Andre R. Young、Labi Siffreを作家として記載。原盤Interscope、Shazamの発売レーベルはAftermath。
元曲の再演奏
2024年Vevo Footnotesの本人発言を伝えるePro記事は、最初のDreとのセッションで生まれた2曲目と説明。DreがかけたLabi Siffreの録音からフックが生まれ、その音楽をDreと演奏者が再演奏したと伝えている。
受賞
2000年、第42回GrammyのBest Rap Solo Performance受賞。
サンプル元
Labi Siffre — I Got The...
Vevo Footnotesでの本人発言を伝えるePro記事による再演奏/インターポレーション。原盤をそのままループしただけとは断定しない。比較音源は未照合のため未掲載。
作品資料とクレジットを照合。聴き方は資料に基づく編集上の考察。実再生は未検証。
個別に出典のある関係だけを掲載。未掲載はサンプル不使用を意味しません。
出典
My Name Is — Universal official audio
My Name Is — Shazam/Apple credits
Best Rap Solo Performance 2000 — Recording Academy
The Making Of My Name Is — official Vevo Footnotes
Eminem Released Annotated Video — ePro report of artist commentary